251)ちょこっとお助け隊

         


 東京都武蔵野市の富田節夫さん(81歳)。「もうぶれたくない」と社会参加を目指して、一人ボランティアを続けてきた。そして、6年前に「こんなおじいちゃんでも、助けを待っている人のお役に立てる」と、ボランティア「ちょこっとお助け隊」を立ち上げた。

 

 地区の町内会的なところに「こういうことをやるんですよ」と広報してもらったが、6か月ぐらいお呼びがかからなかった。「公営住宅の説明会場を使ってください」という申し出があり、そこで説明を始めてから少しずつ動きがあった。

お金を払ったほうが気が楽だという人が多く、「ちょこっとお助け隊」は、10分100円の有償ボランティアである。

 

 いろいろ求められるが、その主なものは、ゴミ出し、お掃除、雨戸閉め、クリニック付き添い、買い物などなど。

 

ゴミ出しと言っても、ゴミの日にゴミが出ていないとか、ドアを叩いても反応がないとか、そうなると、こちらが心配になる。それで、ドアをノックして、「丈夫ですか?」。

インターフォンを押して応答がない場合は、電話をして、それでも応答がない場合は、何かあったんだと判断して身内の方に電話をする。

 そういう時のために、あらかじめ、もしもの場合はそうさせてもらうというルールを作っておく。

 ゴミ出しは自分でゴミが集められない、玄関まで持って行けないという人もいる。

 

         

 

 電球が切れたという連絡も多い。どの球を買えばいいか相談する人がいない。電気屋が近くにない、などが助けを求める理由である。

        

 病院の付き添いでは、こちらとしては検査とか診察のために2、3時間は確保しているが、検査などで長くなると10時間ぐらいかかる。検査して、診察して、ご本人も参っていることも多いので、診察前などの間のコミュニケーションの持ち方が大変になることもある。プロ的なケアが必要と思う時もある。

 

         

 

 「ちょこっとお助け隊」が出動する短時間のケースでは、テレビが映らなくなったというものもある。リモコンボタンの押し間違いや、リモコンのボタンが分からないというケースもある。また、紅白の最中に、「大みそかに一人で紅白を見るのはさびしい。話し相手がほしいので来てほしい」というのもある。

        イラスト紅白テレビ観賞 に対する画像結果

 私についていえば、よそさまのゴミ出しをして自分のゴミ出しを忘れてしまうことがある。家族からは「自分の家のことをしてください」と文句を言われ、肩身の狭い生活をしている。

 

 自分でできなくて、お助け隊に救助を求めるお年寄りが多いが、ほんのちょっとしたことでも、勘違いや知識・情報不足でできないことが多い。

 

 年寄りは、おしなべてリモコンが苦手。「クーラーが冷えない」と言われるが、実際は適温に設定されている状態で、「これでいいんですよ、このままお休みになっていいんですよ」というケースもある。

 今朝は、「携帯が壊れたから、ちょっと・・」と言われた。実際は電池切れということだった。

 

 恥をかいたこともある。

窓ガラスに遮光フイルムを貼るように言われて、ホームセンターで素人ができるフイルムを買ってきて貼り出したら、しわだらけになってしまった。空気が入って、どうもあれは職人技でないとできないんじゃないか。結局上手く貼れなくて、ホームセンターで製品台から買ってきた。

 先月は下駄箱の組み立てをした。下駄箱は簡単だろうと思ったけれど、仲間と2人で行って、でも、説明書が理解できなくて苦労した。

 

 動物の世話を頼まれることもある。ペットのエサやりとか。外で飼っている場合はエサやリは外でできるのだが。アパートに住んでいる人で、2か月から入院することになって、ペットをホテルに預けるのは髙いんで、部屋で飼っておきたいと。私は朝晩のエサやりとトイレの猫が苦手で、掃除を頼まれて、鍵を開けて、暗くなっているところ、猫がにらみつける。

 

          イラスト猫がにらむ に対する画像結果

 

 夜遅くに電話があって「ちょっと来て」と言う。慌てていってみたら、本人はうつぶせに倒れている。抱き起して椅子に座らせたが、めまいがして倒れたという。

 「救急車呼びましょうか」と言ったら、「このままで様子見るから」。

そして、僕にこのまま一緒にいてよと言うんです。夜8時ごろだったが、身内の方が近郊にいるので「来てください」と言ったら、「この時間は行かれない」。

 おばあさんの横に亡くなったご主人のベットがあって、「そこで寝てください」と言うのだが、「勘弁してください。見守りますから」と別室で、寝た。

朝まで何も起こらなくて、朝になったら、元気になって朝食を作っておられるのだが、私の方はほとんど寝ていないので、ほうほうの体で帰らせてもらった。

 

 家事の関係のことなので、女性のほうが向いている場合もある。夕飯を作る。部屋の掃除もする。プロに頼むほどでない。

 

 一人で始めた「ちょこっとお助け隊」だが、今では、ちょっとなら手伝ってもいいという仲間が増えた。

「裁縫を頼まれて、ほころびを縫ってくれる人はいないのか?」

「Tシャツを縫ってほしい。」

プロ的な裁縫ができる人もいる。普段は元気のないおばあさんが裁縫をしてくれる。

 

 81歳ということがばれちゃって、無理しないでと言われる。

 

 「ちょこっとお助け隊」は、社会的弱者へのお手伝いとして立ち上げた。最初は、隣のおっさんに頼みにくいから頼むというものだった。頼む人達は、特別貧しい人達ではない。では、有償でお引き受けしよう。こちらも、ささやかでもお手伝いができる。

 

 ささやかながら循環型ボランティア。ちょこっと助けたお礼で、弱者をお助けする。

リピータの方々の応援で助けられる。

 

 昨年は、依頼689件 そのうち3分以内の仕事が243件。合計45万の売り上げ。その中から去年は12万円を若者弱者に支援にした。

 

 もっと組織的に広がらないか、模索している。

  イラスト年寄りボランティア仲間 に対する画像結果