268)★日本語(文法)ものがたり29「~個」

          

今日は物や人の数え方について考えます。

 

 日本語では、数を言うとき、物の形状に応じていろいろな呼び方があります。人には「~人」、動物には「~匹」「~頭」、車や機械には「~台」、薄っぺらい物には「~枚」、長細い物には「~本」などです。これらの数え方を日本語文法では「助数詞」と言います。

        

 

 アジア系の留学生は自国語にも助数詞があることが多く、あまり驚きませんが、それ以外の外国人はその多さに驚きます。これは外国の方に限らず、私達日本人でも時々どう呼ぶんだったかと迷うことがありますね。

 例えば、鶏(にわとり)なども、「1羽2羽・・」と数えているうちに、6匹、7匹・・」と言ってみたり、鯨が港に入ったときなども、「鯨一頭が・・」というべきところを「鯨一匹が・・」と言ったりしてしまうことがあります。

 

       

 

 次の話はNHK文化放送研究所の記事の一部ですが、上野動物園でパンダの赤ちゃんが生まれたとき、「~匹」を使うか「~頭」を使うかが問題になったそうです。

通常、動物一般は「匹」、人より大きな動物は「頭」で数えます。パンダは大きい熊なので「~頭」で数えられますが、皆さんもご存じのようにパンダの赤ちゃんは生まれたときの体重が124グラムと、人の手にのるような小ささです。そんな小さな赤ちゃんに「1頭の赤ちゃんは・・」などと、「~頭」を使うべきか否か?

 NHKは統一するため、最終的には小さな赤ちゃんにも「頭」を使ったということです。

 

 

 

 今日取り上げるのは、助数詞「~個」です。りんごやボールなど、どちらかというと小さ目の、丸い形の物に用いることが多いです。

漢字表記としては、「個」のほかに「箇」も、その一部を使った「ケ」も使うことがありますが、現在では「竹」冠の「箇」でなく、「個」を使うことが多いです。

「~個」の使われ方ですが、最近若者の間で、「~個」が多用される傾向があります。

 

(1)あの子は私より1個上だよ。

(2)A:あの人とは学年が何個違うの?

  B:2個違う。

 

 (1)(2)は何について話していると思いますか?

そうです。1)は年齢について、2)では「学年」について話しています。

若者の間では、年齢や学年に「~個」を使う人が少なくありません。

 では、次の「~個」はいかがでしょうか?

 

(3)席が1個しか空いていない。

          

(4)(会議で)いいアイデアは一個もない。

 

         

 

(5)(図書館で)大手の新聞が1個もない。地方紙が1個だけあった。

 

         

 

(6)袋を2個にしたほうが、軽くなって持ちやすい。

        

(7)あの人は別荘を2個持ってるよ。

(8)そういうお店は何個かあります。

(9)大きな家財道具を1個だけどこかに送りたい事ってありますよね。でも、「家具や家電を1個だけなんて運んでくれる?」という不安や疑問が浮かびますよね。

         

これらの例文は実例です。

広告やちらしなどにも「~個」は現れます。

 

(10)1個からでも無料でお届けします。お昼のお弁当は、朝9時半までにご注文いただければ、お弁当1個から無料でお届けします。(お持ち帰り弁当屋

(11)一個一個(いっこいっこ)」の意味や使い方わかりやすく解説。(辞書・解説書の広告)

         

 

(12)1個から注文OK! 印刷サイズが選べる 写真加工ソフトがなくてもつくれる スマホから簡単に注文できる (写真プリント店の広告)

 

         

(3)~(12)を「~個」を使わずに表してみると次のようになるでしょう。

 

(3)席が一つしか空いていない。

(4)(会議で)いいアイデアは一つもない。

(5)大手の新聞が1紙もない。地方紙が1紙だけあった。

(6)袋を二つにしたほうが、軽くなって持ちやすい。

(7)あの人は別荘を2軒持ってるよ。

(8)そういうお店は何軒かあります。

(9)大きな家財道具を一つだけどこかに送りたい事ってありますよね。でも、「家具や家電を一つだけなんて運んでくれる?」という不安や疑問が浮かびますよね。

(10)1つからでも無料でお届けします.。お昼のお弁当は、朝9時半までにご注文いただければ、お弁当一つから無料でお届けします。

(11)「一つ一つ」の意味や使い方わかりやすく解説。     

(12)1枚から注文OK! 印刷サイズが選べる 写真加工ソフトがなくてもつくれる スマホから簡単に注文できる。

 

 こうして見てくると、「~個」の代わりに「~つ」の使用範囲が広いことに気がつきます。「~個」が物にしか用いられにくいのに対して、「~つ」は物以外の「アイデア」や「問題」「年齢」などの「事柄」にも使えるということが分かります。

 

 外国人に細かい助数詞を教えなくてもいという意見があるかもしれませんが、彼らが「~台」とか「~匹」とかを聞いたときに何を意味しているか分かったほうがいいし、少なくともよく使われる助数詞は知っていたほうがいいように思われます。