295)「と思う」「とは思う」

今日取り上げるのは、「と思う」ではなく「は」の付いた「とは思う」です。 最近の、特に若い年代層に「とは思う」を使う人が増えているように感じます。例えば、「彼の話は本当だと思います」ではなくて、「 彼の話は本当だとは思います」、 「そのアイデア…

294)令和の時代に古代を掘る(Ⅰ)

人ありて、町は生き 2024/11/16放送(NHK深夜便)より 2年前の2022年12月奈良市の西部にある富雄(とみお)丸山古墳で、研究者たちが声をあげるような品々が発掘された。 一つは盾のような形をした青銅の鏡、もう一つは、蛇が蛇行するように波打つ形の、2…

293)ベストセラ―『変な家』

近くの書店で『変な家』が売れ行き第一位になった。もう1年以上も前のことであろうか。作者の雨穴(うけつ)さんは、インターネットでは「日本のウェブライター、ホラー作家、You Tuber、脚本家、声優」などとの紹介がある。 本屋のベスト1位に並んでいる…

292)★日本語(文法)ものがたり37「類義語・類義表現」の比較(5)「将来」と「未来」

今回は、「類義語・類義表現」の一つとして、「将来」と「未来」について考えます。 英語では、「今より先」「これから先の時」のことは「future」(ヒューチャー)と言いますが、日本語では「将来」とも「未来」とも言います。 (1)こんな世の中では、子供達…

291)茨城県の詩人、新川和江さん

新川和江さんは、1929年、茨城県結城市で生まれた。現代を代表する詩人の一人であった。県立結城高等女学校在学中に、詩人西條八十に手ほどきを受け、「私を束ねないで」や「星の手ほどき」など、数多くの詩を世に送り出した。今年8月に心筋梗塞のため亡く…

290)『脳に効く早口ことば』について

290)『脳に効く早口ことば』について しばらく前に買った本だが、つい最近近くの本屋に行ったら、その本屋のベスト6に並んでいた。この本はタイトル『脳に効く早口ことば』に、「とっさに言葉が出てこな い人のための」という説明が付いている。作者は脳ト…

289)★日本語(文法)ものがたり36「類義語・類義表現」の比較(4)「自然な演技・リアルな演技」

「リアル」という言葉をよく耳にする。「現実的」「写実的」「あるがまま」というような意味である。 (1) 年を重ねグレイヘアが老婆のリアル感を醸すようになってきた。 (2) 自分ではリアルには覚えてないけど、そんな出来事があったなって、ふんわり覚えて…

288)東大に現役合格したT君

NHK BSのシネマを見ていた。日本の女子高校生の淡い恋心がテーマだが、見ているうちに高校時代の一つの出来事を思い出した。 高校3年生の3月のある日、私の手元に一通のハガキが届いた。T君という野球部の男子からのものだ。手書きのハガキである。ドキド…

287)『おらおらでひとりいぐも』を読んで

『おらおらでひとりいぐも』の作者、若竹千佐子(わかたけ・ちさこ)さんは、1954年、岩手県遠野市生まれ。岩手大学教育学部卒業。主婦業のかたわら、幼いころからの「作家になる」という夢を持ち続け、55歳から小説講座に通いはじめる。8年の時をかけて本…

286)★日本語(文法)ものがたり35「類義語・類義表現」の比較(3)「重要だ・大切だ・大事だ」

前回の宿題は、「白髪(はくはつ)」と「白髪(しらが)」を使って、2文ずつ作ることでした。皆さんからの答えの一部をご紹介します。 【白髪(はくはつ)の例】 (1) 白髪を美しく保つのは大変そう。 (2) スキンヘッドと白髪の人、どっちがいい? (3) しら…

285)映画に取って代われるか?

イベント会場「ベルサール」は、新宿高島屋デパートのすぐ前にある住友不動産ビルの中に位置している。1階の受付には、すでに数人の若い女性たちが集まっていた。 新宿高島屋デパート イベント名は「Immersive Museum TOKYO Vol.3 印象派と浮世絵」、副題とし…

284)山田太一『異人たちとの夏』について

山田洋次監督は渥美清主演の「男はつらいよ」を撮った監督。同じ山田姓のせいか、それとも、静かな性格のせいか、山田太一さんは時々山田洋次監督と間違われたり、陰に隠れていたりする。 山田太一さんは2023年に89歳で逝去されたが、脚本家であり、映画監督…

283)★日本語(文法)ものがたり34「類義語・類義表現」の比較(2)「白髪(はくはつ)・しらが」

前回の「283)★日本語(文法)ものがたり34「類義語・類義表現」の比較(1)」では、「裸足」と「素足」について取り上げました。そして、宿題として、それぞれの例文を2文ずつ作って送ってくださいと申し上げました。すると、素敵な作文がいくつか届きました…

282)芥川龍之介作「蜜柑(みかん)」抄訳

私は小学校で子供達に読み聞かせをやっている。 月一回朝15分であるが、小学生30人くらいを前に自分の選んだ本を読み聞かせするのは、非常なだいご味がある。 まず、その非日常性。 何十年も前に過ごした小学校は、昔と様変わりして、広々と明るく清潔である…

281)『戦争語彙集』を読んで

これは、ウクライナを代表する詩人、オスタップ・スリーヴィンスキー氏が、戦火を逃れてきた避難者の支援をしながら証言を聴き取り、構成した文芸ドキュメントである。 「ぜひ日本に紹介したい」と願った日本文学者のロバート・キャンベル氏が日本語に翻訳し…

280)★日本語(文法)ものがたり33「類義語・類義表現」の比較(1)

2024年5月24日付の読売新聞コラム「言の葉巡り」に、よく似た言葉について興味ある考察が加えられている。 それには、「長さ」と「幅」の使い分けの他に、「乾かす」と「干す」、「混じる」と「混ざる」、「裸足(はだし)」と「素足(すあし)」、「白髪(…

279)演歌歌手吉幾三さんと弟子

「師匠」「ナオキ」と呼び合う。弟子の真田ナオキさん曰く、 師匠はかなり優しいというか、「俺のことは何言ってもかまわない」と言ってくださるので、他の先輩のこと語るより気が楽です。 師匠は演歌歌手の吉幾三さん、以下の話は弟子の真田ナオキさんへの…

278)『頭のいい人が話す前に考えていること』を読んで

もし、あなたが誰かにきちんと話をしなければならないとき、話す前に、あなたはまず何を考えるだろうか? 話す内容、話す順番、どこから話し出すか、時間はどのくらいかけるか。 話す内容や段取りだけではない。相手はどんな人か、短気な人か、のんびりした…

277)★日本語(文法)ものがたり32「言葉の使い方」

幼稚園と保育園(保育所を含む))がいっしょになって、「認定こども園」を作る動きが始まっている。幼稚園と保育園は、ともに就学前の子供達を預かる施設であるが、「認定こども園」は、教育・保育を一体的に行う施設で、いわば、幼稚園と保育園の両方の良…

276)脳を探る

脳についてはこのブログで取り上げたことがあるが、今回は最近話題になっている「生成AI」と、「人間の脳」について沢田氏に語っていただく。 (生成AI:会話、ストーリー、画像、音楽などの新しいコンテンツやアイデアを作成できる人工知能) 沢田誠氏は、…

275)『風の中に立て―伊集院静のことば―』を読んで

作家の伊集院静さんが亡くなって、もう半年になろうとしている。(2023年11月24日73歳没)小説家、随筆家などとして知られる。 私にとって伊集院静さんは、女優の夏目雅子さんと大恋愛をし、結婚をし、そして、1年経ったか経たないときに、夏目さんが亡くな…

274)★日本語(文法)ものがたり31「使われない言葉(2)」

ブログ「271★日本語(文法)ものがたり30使われない言葉」で、現在使われなくなってきている言葉を取り上げた。それに対して、読者から「これはどうだろう?」といくつかの言葉が出てきたので、今回は(2)としてそれらを見ていきたいと思う。3人の方の投稿か…

273)ショコラティエchocolatier(チョコレート職人)辻口さん

今日は「スイーツを極める」と題して、ショコラティエchocolatier(チョコレート職人)辻口博信(51)のお話です。 チョコレート職人の辻口さんは、世界のスイーツコンテストで数々の優勝経験を持ち、現在も挑戦を続けている。東京をはじめ、全国で13のブラ…

272)有吉佐和子『青い壺』を読んで

最近は大型書店でなくても入口の近くに「売り上げベスト10」の本を順位にそって並べているところが多い。10の本を順番に見ていたら、7位か8位に有吉佐和子の『青い壺』があった。「へぇ、どうして有吉佐和子が?」と怪訝に思ったが、私より10歳位年上で、…

271)★日本語(文法)ものがたり30「使われない言葉」

対談番組で言語学・国語学者の金田一秀穂氏と、作詞家の秋元康氏が対談をしていた。両者とも日本語を扱う仕事であるので、話の中身は「言葉」が中心になる。いくつかの「言葉」が消えつつあるが、現状はどうなっているのだろうという話が出た。 年配の人達に…

270)中西良太さんの人生のとらえ方

中西良太さんは中堅の俳優である。兵庫県西脇市出身、今年で70歳古希を迎えた。「十津川警部シリーズ」や「特命刑事」などの刑事ものや、数多くのテレビドラマ、NHKの大河作品にも出演している。映画監督もやったことがあるという。 「その1 渡瀬さんとの交…

269)『雑草のふしぎ』を読んで

NHK朝ドラの「らんまん」(2023年4月~同10月)がヒットした。植物に全人生を捧げる主人公 牧野富太郎・寿衛(すえ)夫妻の生き方を見て、野に咲く植物や雑草に興味を持った方々も多かったのだろう。 『雑草のふしぎ』稲垣栄洋(いながきひでひろ 静岡大学教…

268)★日本語(文法)ものがたり29「~個」

今日は物や人の数え方について考えます。 日本語では、数を言うとき、物の形状に応じていろいろな呼び方があります。人には「~人」、動物には「~匹」「~頭」、車や機械には「~台」、薄っぺらい物には「~枚」、長細い物には「~本」などです。これらの数…

267)世界に目を向ける

国際医療ボランティア桑山紀彦(のりひこ)氏。1963年岐阜県高山市生まれ。 精神科医 60歳。 学生時代(山形大学)に各地を放浪し、卒業後に休暇を利用して、フィリピンなど世界各地で医療ボランティアを始める。それ以来35年ボランティアを続けている。 中…

266)『どうせ死ぬんだから』を読んで

老年学が専門でもある和田秀樹氏の本は今までに何冊か読んでいる。共通しているのは、新書版なのに字が大きくて、隙間が多くて、太字が目立って、「これは、普通の文字の大きさと行詰めなら、本、半分ぐらいの量しかないなあ」と思わせる。ゆったりと、余白…