290)『脳に効く早口ことば』について
しばらく前に買った本だが、つい最近近くの本屋に行ったら、その本屋のベスト6に並んでいた。この本はタイトル『脳に効く早口ことば』に、「とっさに言葉が出てこな
い人のための」という説明が付いている。作者は脳トレ博士「川島隆太」、早口ことば芸人・作家「大谷健太」とある。
川島隆太 大谷健太
前書き的な説明では、「早口ことば」を行うことは、計算速度=頭の回転力を高める効果がある、また、「早口ことば」を言うことで、記憶力が鍛えられるとも説明している。
昔覚えたものを思い出す力や集中力が上がり、家事をテキパキこなせる。脳がぐんぐん進化、認知症予防にも効果があるとのこと。また、本の帯には、「会話中、頭がフリーズする人はいますぐ実践してください」とも書いている。すべてを考えると、我々シニア世代や高齢者にはピッタリの本ではないか。
著者に芸人さんが入っていることもあり、ともかく楽しく、面白く練習ができる例題が満載である。
練習は基本編と応用編に分かれ、基本編のPartⅠは「まずは口ならし」、応用編のPartⅡは「口が動き出したらレベルアップ」、PartⅢは「さらに脳に効かせたい!」である。
PartⅠの「早口ことば」の一部を紹介しよう。口に出して言ってみてください。
「カワウソ かわいそう」
「九州(きゅうしゅう)に乳牛(にゅうぎゅう) ぎゅうぎゅう
基本編は短いものが多いが、やり方としては、好きな早口ことばを選び、文字を見ながらできる限り早く読む。好きな時間に1分でもよい。毎日でも2日ごとでもよい。
本を見ながら一つを言い、次に本を閉じて、同じ「早口ことば」を暗唱する。
応用編は基本的なやり方はPartⅠと同じ。ただし、2日目から「早口ことば」の数を1つずつ増やし音読、暗唱する。5~7つまで音読、暗唱ができるようになったら、別の「「早口ことば」で同じことをする。
応用編 PartⅢ
「ほらごらん 巨大魚卵(きょだいぎょらん)」
「仕送(しおく)りしまくる シロクマ」
「ニラレバ2倍(2ばい) 食(た)べられる?」
「魔術師(まじゅつし)の頭上(ずじょう)に 数珠(じゅず)」
PartⅢは手ごわい「早口ことば」ばかりなので、力まないで、まずはリラックス、「最初はゆっくり、徐々にスピードアップ」という作戦で、マイペースで取り組むほうがいい。
次もPartⅢのつづき。
「くっつく靴(くつ) 突(つ)っつくキツツキ」
「着物(きもの)も いもの煮物(にもの)も 君(きみ)のものなのね」
「シカ近(ちか)し! しかし、シカ舌(した) 短(みじか)し」
「この農業高校(のうぎょうこうこう)の校長(こうちょう) 相当(そうとう)狂暴(きょうぼう) 教頭(きょうとう)逃走(とうそう)」
いかがですか。
成果のほどは分からないが、従来の「早口ことば」とちがって、文の内容がトンチンカンで、愉快なのはいい。皆さんがあまり深く考え込まず、楽しみながら練習してくださるのを期待している。