205)芸人コロッケさん

 先週は義兄の葬儀のため、ブログをお休みしました。義兄のご冥福を祈りつつ、今週よりまた、よろしくお願いいたします。

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 ものまね名人のコロッケさんは熊本県人である。淡谷のり子の「ものまね」から始まって、美川憲一、森進一、五木ひろし野口五郎などの、有名歌手の「ものまね」は天下一品である。話し上手でもあり、多くの人々を笑いの虜(とりこ)にする。

 彼の「ものまね」は、彼独特の芸風があり、しばしば「おふざけ」ととられたりもする。

 

 今日お伝えするのは、NHKラジオ深夜便「熊本の集い」で行われたコロッケさんの講演の、ごくごく最後の部分である。

      

 「震災(東北大震災)のあと、一週間ぐらいで支給されるものが、ペットボトル1日1本、おにぎり1日1個のころでした。

        

 炊き出しを配っている時にある女性の方に言われました。

彼女は私の肩をバンバン叩いて、

 

「(コロッケさん、)何かやって」

 

僕は答えました。

 

「やっても、今こういう状況ですから、やると、よくないなあと思いまして・・・」

 

「笑ってないの、もう一週間笑ってないの」

 

「はい、分かりました。何がいいですか?」

 

丁度その時、僕は拡声器持ってたんですね。

 

「森進一。あとね、五木ひろしでしょう、美川憲一・・・」と女性。

「けっこうやるんですね」と僕。

「うん、全部やって」と女性。

「はい」と僕。

         


  ほんの10分、15分ぐらいで、2~300人、あちこちに並ぶんですよ。

森進一の「おふくろさんよ」をやって、

「おふくろさんよ、べーっ。おふくろさんよ、べーっ」ってやりながら、反省している自分もいるわけですよ。でも、そうすると、そこで笑い声が起きるんです。」

 

 (コロッケさんは、ものまねを尋常な形では終わらせない。いつもどこかに茶化しめいたものを入れる。それは彼の笑いに対する哲学みたいなもので、ふざけることでより深い笑いをねらう。「おふくろさんよ、べーっ」もその一つ。私なんかはふざけないで、まともにものまねしてほしと思うが・・・。)

 

「(震災に遭った人達は)ずっと笑い声なんか聞こえてないわけですよね、この一週間。

「何? 何が起きてるの? 何?」

後ろに並んでいる人達がこうやって(背伸びしながら)、見ているわけですよね。

 

「すみません。コロッケと言います。今ご要望にお応えして、「ものまね」やってまーす」

 

 後ろに並んでいる方は、自分は何をリクエストしようと考えますよね。1時間ぐらいずーっとそうやって(ものまねやって)ましたよ。

          

 そうすると、そこのとこだけ笑い声が響いて、「ああ、役に立てることってあるんだなあ。有難いなあ、「ものまね」って。

 

 もしかすると、こういう大変な時に、一瞬で分かるじゃないですか。

 森進一さんの場合、「べーっ!」ってやれば一瞬で分かるわけですから、もしかすると、皆さんに喜んでいただけることで、今までやってきたことに意味を感じた時でした。

 

 そこで大変なことが一つ起きましてね。なんで名前コロッケって付けたんだろう? ほんとに違う名前にすればよかった。

炊き出しを配っている時に、ある女性の方が、でかい声で、「コロッケが来た!」「コロッケが来た!」と叫んで、向こうに走って行かれたんですよ。

        

 1日にペットボトル1本とおにぎり1個しかない時、みんな食べたくてしようがないわけですよ、他のものを・・・。まさか人間のコロッケだとは思っていない。

 

 私も、「コロッケ―」と叫んで行かれた方も、私だと思うじゃないですか。

 

 だから、「はいー!」ってもう満面の笑みで言いましたけど、(他の女性の)「あ~っ」っていう一言が、私のすべての、もう、今までの人生が落ちてしまうような一言で、「あー、俺じゃないんだ、食べ物のほうのコロッケなんだ・・・。なんてややこしい名前付けたんだ」

 

 その時にその女性が、「あー、あんた、あら、コロッケさんだったの?」

 私は、もう頭下げて、「すみません、すみません、私で・・・」。

 

 熊本でもそうだったんですよ。熊本でもあの大地震が起きた次の日、私、博多にいたんで、炊き出しとなどでは、なかなかご飯もの、お寿司みたいな、太巻きとかないから、友達に言って集めて、そしたら、同じように「コロッケが来たー!」って走っていくんですよ。熊本だから、私だって思っていただける率は高いんですよ。

 

「コロッケ、どこ?」

 

 この言葉さえ、聞いてるほうも、私なのか、食べ物なのか分からないじゃないですか。聞いている人達も、「コロッケですか?」

 

 私はテーブルを置いて立っておりまして、その方、食べるほうがほしかったんでしょうね。ですから、「ああ~~」。そして、私を見て言った一言が、「コロッケはー?」

 

 

・・・もうちょっとちゃんとした名前にすればよかった。」

 

 そして、コロッケさんは講演を次のように話をまとめた。

 

 「まあ、ホントに、切羽詰まっているからこそ話題になることもあるんだなと。いろんな形で自分も何かお手伝いできればいいかなってことは今も考えておりますし、今日のテーマの「あおいくま」というのは、何をするにも、この5つの言葉を覚えておくだけで、そんな変な方向に行かないんじゃないかと、幼少のころに母が言った一言が、今も私に響いています。

 

 会場のお客様、ラジオを聞いておられる皆さんの心に響けばいいんじゃないかと、思っておりますし、この言葉の中に隠されている「相手が一番、自分が二番」という言葉もそうだと思います。「せるな」「こるな」「かるな」「さるな」「けるな」、そして、「相手が一番、自分が二番」。

      

 いろんなことがまだまだこれからあると思います。何が起きるか分からない、でも、自分本位にならなければ間違ったことはしないんじゃないか。

皆さんに喜んでいただけるコロッケとして、熊本県人として頑張ります。

まだまだコロッケはふざけますんで、よろしくお願いいたします。芸風を変える気はございません。有難うございました。コロッケでした。」

 

 コロッケさんはホントに面白い。真剣に笑いを追求している。そして、何より心のあったかい芸人さんだ。