39)外国人の話し方の傾向

外国人留学生の会話として、29)~38)で「自分の呼び方」「内向き日本人」「早期英語教育」を取り上げた。

会話に参加した学生たちは日本語力上級レベルの人達で、自分の言いたいことをかなりの程度で述べることができる。

しかし、彼らが会話で発言したままを載せるには、エラーが多く、読み手にあまりに負担をかけてしまうため、ある程度原文を訂正した。

話し言葉で、留学生にとどまらず一般の外国人に共通すると思われるが、次のような特徴である。

当然のことながら日本語力の低い者ほど①~⑥の傾向が強い。レベルが高くなると、エラーは少しずつ減ってくる。

 

 ①「あー、えー、えーと、あの、あのー」などの不要な発信音(フィラーと呼ぶ)が多い。

発話においては、日本人でも「あー、えーと、あのー」などを入れて話すことが多いので、一概には非難できないが、外国人の場合、意味をなさないフィラーの数が多すぎる、また、不要なところでフィラーを入れてしまう傾向がある。

例:はい、あのー、えー、かん、えー、かん、親からの干渉といったら、技術面的にあくまでも有限、有限だと思います。

 

 ②①と似ているが、「何(なん)か」「何ていう」「けっこう」「やっぱり」「ほんと」「ま/まあ」などの意味のない表現を、口癖のように使ってしまう。

例:で、、だんだん日本の生活に、、慣れて、慣れながらクラスメートとか、・・。

 

 ③「言い換え」が多い。

一度ある表現を使ったあと、すぐそれに類似した言い方に言い直すことが多い。自信がないのか、間違ったから言い直さねばと思うのか、聞くほうにとっては少々間違ってもいいから言い換えずに(言い直さずに)、言い切ってくれたほうがわかりやすいと思うことが多い。

例:はい、あの、えーUさんの、Uさんおっしゃったことですね。あのう社会から細かい細かく 分業されて日本人は、分業されて日本人は、自分の分野に熱中して周りのことにあまり関心持っていないことです。

 

④助詞が抜けたり間違ってしまう。

文意が通じるときは抜けてもいいが、そうでないときに助詞が抜けると文全体の意味がわからなくなってしまう。助詞、特に文の構造を作る格助詞(会社仕事する、毎日7時電車学校行く。)が、日本語力のある者でも十分ではない。

例1:あまり知らない人とか知らないことには手を出さないほうがいい、という考え方(→考え方が)生まれたのではないかと思います。

例2:先生これあげます(→先生これあげます。)

例3:私自分やりたいこと(→ことと)やっぱり親との考え方(→考え方が)ちょっとすれちがって、そのとき(→そのときには)衝突もあります。

 

⑤「は」と「が」の混同によるエラーが多い。

「は」と「が」を少々間違っても意味が通じる場合はよいが、意味が通じない場合、明らかに間違っていると感じられる場合も多い。

例: 小学校の英語教育のやり方で、まずは先生の選択は(→が)とても重要だと思います。

⑥指示語(こそあ)のうち、「そ」(それ、その、そこ)が使えない。「「あ」(あれ、あの、あそこ)になりやすい。

例:相撲のように伝統的なスポーツの世界では、「わし」だけじゃなく、いろいろ古い言葉や習慣が残っていますから、あそこで(→そこで)「わし」っていうのは私もあまり違和感がないと思います。