2)朝ドラ「半分青い」について

   前々回の朝ドラ「半分青い」(2018年4月~9月脚本北川悦史子)にはところどころに気の利いたセリフが入っていた。

まず、タイトルの「半分青い」。

 片耳が聞こえない主人公は、雨の音が半分しか聞こえない。傘をさして、右半分は雨音が聞こえるが、左半分は聞こえない。したがって、右側は雨が降っているが、左側は降っていない、晴れていることになる。

 脚本家北川はドラマに「半分青い」というタイトルを付けた。半分は青空だと言うのだから、何と素敵な名前ではないか。

 その中に俳優の中村雅俊が祖父役で出ていた。物分かりのいい、ソフトな語り口の教養ある祖父を演じていたが、悲嘆にくれている主人公に向かって、戦争で捕虜になったときの体験を話す場面があった。

(次の雅俊氏のセリフの部分は筆者の記憶が怪しく、厳密ではない。しかし、内容的には正確である。)

「戦争で捕虜になって、一日中閉じ込められては労働をさせられていた。捕虜は皆希望のない日々を送っていた。しかし、一日15分だけ天井の窓から空を眺めてよい時間があった。自分は毎日15分空を眺めていた。青空を、雲を眺めていた。それだけで、毎日が生きられた。」

 中村雅俊の演じる祖父は続ける。

「人間は15分空が見られれば生きていけるんだよ。1日15分何かよいことがあれば生きていられるんだよ。」

 この祖父の言葉で主人公は苦しみから脱することができたようだ。 

このセリフは私の胸にも深く浸み込んだ。

「そうだ、つらい毎日でも、15分ホッとするひとときがあれば、生きていけるんだ!」。

 私はその日以来、そう考えることにして、実践している。