241)高齢女性と不眠

週刊文春』2023年7月27号は「高齢女性が不眠に克つ五カ条」というタイトルで2、3ページの記事を掲げている。

 私の周りでも、夜寝られないとか、夜中目が覚めたらそのあとずっと眠れないという女性(70~80歳台)の声を聞くことが多い。

         

 その原因は何か、そして、その解決法は?という期待で記事を読んだが、今までどこかで聞いた情報の域を出るものはなかった。

 しかし、不眠に打ち勝つ方法の整理として、今回のブログで取り上げる。

(記事では、以下の方々が執筆に関わっておられる。名前を掲げる。久留米大学内村直尚学長、都内ひまわり医院伊藤大介院長、山門クリニック山門實副院長、一般社団法人高齢者入浴アドバイザー協会鈴木知明代表理事名古屋学芸大学健康・栄養研究所下方浩史所長他)

 

高齢者女性の不眠の「現状」

 厚労省の調べでは、不眠は女性に多く、「加齢とともに不眠症状は増加し、60歳以上では半数以上の方で認められる」ようだ。

 

 では、何時間眠れればいいのか。何時間眠れれば心配しなくて済むのか。

 

「睡眠時間」

 睡眠時間が5時間未満だと7時間の人に比べて高血圧リスクが1.6倍髙くなる。男女を問わず60歳以上の睡眠時間は6時間プラスマイナス1時間(つまり、5時間~7時間)が目安。寝過ぎは病気のリスクを上げてしまう。

「昼寝」については、15分程度の短い昼寝なら問題はない。ただ30分以上寝てしまうと、夜の睡眠に影響が出やすいとのこと。

 

 女性高齢者の不眠の現状と何時間眠れれば大丈夫かについては分かったが、不眠症の原因は何なのだろうか。

 

不眠症の原因―ホルモン」

 60代になると、更年期は終わるが、女性ホルモンの減少は続く。プロゲステロンという筋肉の緊張を高める働きをする女性ホルモンが減少していく。すると、筋肉の緊張が緩んで気道が狭くなり、就寝中にイビキをかくようになる。これによって、女性は睡眠の質が大きく低下してしまう。

 

         

 

 女性ホルモンの現象により不眠が促進されるのであれば、ある程度の不眠は仕方がないと言える。「年とったらなかなか熟睡はできないのだなあ」ということを知っておくことは、眠れなくてもしようがないなあと、不眠を懐(ふところ)深くとらえるという点で役に立つかもしれない。

 

 では、少しでも不眠を和らげる方法はないか。不眠への対策として、次のような方法が提案されている。

 

「不眠を和らげる対策-(1)入浴」

 「眠る90~120分前の入浴が、快眠に最も効果的である。疲労回復効果を考えると、シャワーだけよりも入浴のほうがいい。

        

「不眠を和らげる対策-(2)室温」

 「この暑さでは、湿度は50~60%、室温は25~26℃にするのが適切。クーラーは切らずに一晩中つけたほうがいい。

 

 記事にはこの温度が書かれていたが、少し低いような気がする。エアコン推奨温度の28℃か27℃位がいい。

          

 

「不眠を和らげる対策-(3)お酒や飲み物」

 アルコールには利尿作用があり、脳卒中心筋梗塞の発症リスクがあるので、要注意。

          

 カフェイン(コーヒーや紅茶)は摂取してから約30分後に覚醒効果が出る。お茶が飲みたいときは、カモミールティーがいい。カモミールティー(キク科の植物から抽出したハーブティー)に含まれる抗酸化物質アビゲニンが睡眠を促進し、不眠を抑制する可能性がある。 

         


 「不眠を和らげる対策-(4)キウイフルーツ

 キウイに含まれる抗酸化物質、特にビタミンCやカロテノイドは睡眠に役立っているとされる。

          

 マグネシウムには心身のリラックス効果があり、睡眠中に起こる「こむら返り」を抑制する作用も期待できる。アーモンド290g、カシューナッツ240gが含まれている。大豆食品も同様で、木綿豆腐には57g、油あげには150gが含まれる。

      

 たぶん賢明な女性は、自分なりの不眠対策を持っていらっしゃると思う。数人の方から聞いたのは、眠れないときは無理して眠ろうとしない。また、いつかは眠くなるだろうと考えて、ラジオを聞いたり、スマフォを見たり、考え事をしたりする。焦らなで再び睡魔が襲ってくるのを待つ、という答えであった。焦らないで身を任せて待つ。私自身も、今はそれが一番早く眠りに着くことかなと思い始めている。