238)新・教育論「生き抜く力を育てる」2

 今回は、前回に続き、高濱正伸さんのお話をお送りします。

 

「お母さん方を見ていると、お母さん方は子供の文章題で、子供をつぶし始める。

        

 計算とか漢字はやった分、子供達は伸びる。分かりやすいし、あとを引かない。

        

 

 一方、文章問題は違う。

 文章問題も最初は難しくない。一般のお母さんは、「ほら、来てごらん。間違っているじゃない。何て書いてあるのかな? ちょっと読んでごらん。声出して読んで。」から始まって、「最初から言ってるじゃないの!」って仕切り始める。

        

 文章題は「文章から、くまなく情報を汲み上げる」という別の力が問われるから、大変な思考力を使っている。

 親は、1、2年生ぐらいの問題は簡単だと思うようだが、発達段階的には、そこですごい力を必要とする。甘くない。

 親がそこを分かってやればいいのだが、なかなかそうは行かない。

 

 漢字や計算に必要とする力(基盤力)は、「やりなさい」で伸ばしてあげられるが、それ以上の事柄は「好き」という要素が入る。各分野の面白さ、算数なら算数の面白さを教えてやらなければならない。

        

 実はここで、一番重要な「肯定感」というものがあって、これについて僕自身が核心を持って見えてきたのが、教師生活30年目、去年であった。

発達障害と言われている子供でも変われるんだ、ということがたくさん見えてきた。

障害児クラスでは、1人走り出す子供がいると、クラスはもうコントロールできなくなる。むしろその子がいないほうがいい。

 

 ところが、吉祥寺のフリースクールが奇跡を起こした。

 

 学校に行けない重度の不登校生が、毎日スクールに通えるどころか、半年後には朝の7時に走って入ってくる。

 東京都の教育長も見に来た。

 

 ここで言いたかったことは、自己肯定感ということである。

       

 5人のスタッフが朝から晩まで25人の子供を預かっている。朝から子供達と話し合っている。

 学習塾が「当方は、〇〇メソッドを持っているんです。それでやります。」と言うのは、アドバルーン(宣伝)でしかない。アドバルーンだけ上げて、核心を突いていない。

 

                     

「「愛」なんですよ。本気で5人のスタッフが子供達を愛して、愛して、愛し抜くことが核になるんですよ。」

     

 子供に、15歳頃までに「自己肯定感」を植え付けておく。「自己肯定感」が備  わっているか否かで人生に差が付く。考える力についてもそうだし、見えないものが見えてくるのも「自己肯定感」による。

 

 

 ぎゅっと抱いて、離さない。「愛」さえ確認できれば、「自己肯定感」が育つ。14、15歳までに「自己肯定感」が育てば、自分が見えてくる。自分で調整できる。

 できない場合もあるが。心がしなやかに育てば何とかなる。」

 

       

 

 高橋さんの新教育論はいかがだっただろうか。キーワードは「愛」「好き」「自己肯定感」。これらがあれば、子供はたくましく、「どんな時代になっても、(自分で)食える子」に育っていくという。

 多くのお母さんはそのことは分かっている。しかしながら、我が子にはなかなかそれが実践できずにいるのかもしれない。