前回の宿題は、(1)(吾輩は猫)である→1グループ(状態) (2)(演歌を)歌う→2グループ(動作の継続・進行) (3)結婚する→3グループ(変化の結果の持続) (4)(空が)澄む→4グループ(第四種の動詞)
では、今日のレッスンに入ります。
動詞は「て」が付くと、「行って・書いて・飲んで・話して・食べて・見て・練習して」のようになります。これは「て形」「テ形」「-te form」などと呼ばれ、非常によく使われる形です。
基本的なものには、次のようなものがあります。
1.~てください(丁寧な依頼(お願い)・勧め))
(1)ちょっと待ってください。
2.~ている/ています(動作の継続・進行)
(2)今お風呂に入っています。
3.~ている/ています(状態)
(3)この道は大きく曲がっている。
4.~てもいい(です)(許可)
(4)A:これ、使ってもいいですか。
B:はい、使ってもいいですよ。
5.~てはいけない(禁止)
(5)A:これ、さわってもいいですか。
B:いいえ、さわってはいけません。
6.~て、~て(継起・引き続いて起こる)
(6)きのうは家に帰って、風呂に入って、晩御飯を食べて、床に着いた。
7.~てから(=~たあとで)、
(7)仕事が終わってから、カラオケに行こう。
今回は、この中から「1.~てください」を取り上げます。
1.~てください
(8)分からないので、もう一度説明してください。
(9)今日財布を忘れてきたので、悪いんだけど、お金を貸してください。
「~てください」は丁寧な依頼(お願い)」をする時に使いますが、状況によって、また、口調が強くなったりすると、「命令」や「指示」などの意味合いになります。
(10)先生:はい、皆さん、立ってください。
生徒:は~い。
先生:では、皆さん、後ろを向いてください。
例えば、日ごろ仲のよい夫婦でも、奥さんが旦那さんに強い口調で言う時は、この「~てください」が使われることがあります。
(11)妻あなた、もう起きる時間よ。
夫:えー。もうちょっと。
妻:だめよ。遅刻するわよ。
夫:うーん、もう1分。
妻:だめ。今すぐ起きてください!
これなどは、「丁寧な依頼(お願い)」というよりは、「命令・指示」の役割を果たしていると言えるでしょう。
「~てください」が時に命令的に聞こえためでしょうか。日本人は「~て」「~てください」の後ろにいろいろな表現を付けて、より丁寧に依頼したり、お願いしたりします。
(12)A:これ、貸してください。
貸してくれますか。
貸してくれませんか。
貸してくださいますか。
貸してくださいませんか。
(12)Aは上から下に行くほど丁寧になります。「~ますか」よりは否定の「~ませんか」のほうが、また、「てくれる」よりは「ていただく」のほうが丁寧になります。
(13)A:これ、貸してください。
貸してもらえますか。
貸してもらえませんか。
貸していただけますか。
貸していただけませんか。
ここで注意したいのは、「もらう」「いただく」が「丁寧なお願い」として使われる時は、可能形「もらえる」「いただける」になることです。
日本人ネイティブは自動的にそれができるのですが、外国人学習者には、「もらう」が「もらえる」、「いただく」が「いただける」になることは、これがなかなか難しいことなのです。
日本人はお願いする時は、これらのいろいろな言い方の中で「~ていただけませんか」をよく使うようです。
「~てください」は「丁寧な依頼(お願い)」「命令・指示」以外にも、「勧め」にも用いられます。「勧め」というのは命令や指示ではなく、「どうぞ」と「誘う」ことです。 次は相手に勧めている例です。
(14)A:どうぞ召し上がってください。
B:あ、いただきます。
(15)A:雨が降ってきましたね。
B:傘がありますか。
もし、よかったら、この傘を使ってください。
A:ありがとうございます。
(16)店の人:いらっしゃいませ。
客:スポーズシューズがほしいんですが。
店の人:これはいかがでしょう。
客:ああ、いいですね。
店の人:どうぞ、履いてみてください。