次のようなラインのスタンプが届いたとき、私はちょっとびっくりした。スタンプにこんなシャレた言い方が取り上げられている!と思ったからだ。
しかし、インターネットを調べてみると、もうかなり前からSNSなどでは取り上げられ、若い人達中心に使用されているという。
まず、「わかりみ」の「み」がどこから来たのか、どんな意味なのかを考えてみよう。
「~み」は文法的に言えば、1.形容詞起源のもの、2.動詞起源のもの、3.形容詞・動詞の両方起源のものがある。
1.形容詞起源のもの:主に形容詞末尾の「~い」が「~み」に変じたもの
例:赤い→赤み、丸い→丸み、深い→深み、うまい→うまみ、甘い→甘み
2.動詞起源のもの:動詞の活用の連用形(「~ます」の前に来る形)
例:取り組む→取り組み、売り込む→売り込み、ほほ笑む→ほほ笑み、
頼む→頼み、たるむ→たるみ
3.形容詞と動詞両方起源のもの:形容詞起源とも動詞起源とも考えられるもの
例:悲しい/悲しむ→悲しみ、痛い/痛む→痛み、楽しい/楽しむ→楽しみ、
苦しい/苦しむ→苦しみ、ゆるい/ゆるむ→ゆるみ、親しい/親しむ→親しみ
今回取り上げる「わかりみ」は、1~3のどれにあてはまるだろうか?
結論は、そのどれにも当てはまらないと言える。
「わかりみ」は「動詞「わかる」+み」、正しくは「動詞「わかる」の連用形「わかり」+み」ということになる。
しかし、「わかる」は、2、3の「頼む」や「悲しむ」のように、終止形「む」をとらない。
また、「わかり(ます)」は、「頼み(ます)」「悲しみ(ます)」のように連用形で「~み(ます)」になることができない。
つまり、「わかりみ」は、動詞の連用形そのものではなく、「わかり」にわざわざ「み」を付けた、「わかり+み」からできている。
これは伝統的な国語文法から見ると、正しくない。しかし、正しくないからこそ若者言葉として好まれているとも思われる。
次に若者言葉「わかりみ」の使い方を紹介する。インターネット(若者が使う「わかりみ」ってどんな意味?使い方や類語も紹介Donuts他)をいろいろ参考にさせていただいた。
・共感したとき
「わかりみ」は、共感したときによく使われるという。
A:テスト勉強、面倒くさいんだけど。
B:わかりみ。
他に「わかりみが深い」という言い方もある。「とても○○だと思う」という意味である。
・理解したとき
共感だけではなく、「理解した」「了解した」という意思表示にも使われる。
A:あした朝7時に電話で起こしてくれる?
B:わかりみ。
・相手に確認するとき
相手に何かを確認するときは、使い方が変わってくる。次の会話では、「来週のシフトわかる?」という意味で使用している。
<相手のアルバイトの予定を尋ねる>
A:来週のシフトわかりみ?
B:来週は月曜日が休みだよ!
・相手を肯定するとき
相手の言っていることや出来事に肯定を示すときにも使われる。この場合、疑う余地がないことや、それ以外には考えられないなど、非常に強く思っているという程度を表すために、「わかりみがある」「わかりみしかない」「わかりみが強い」「わかりみが深い」「わかりみが深すぎる」「わかりみがすごい」などと使う。
その他にも「〜み」という言葉は、いろいろな会話で使われている。例えば、「良さみが深い(とっても良い感じ)」「つらみ(なんだかつらい)」など。
若い人(女性が多い)達は、「なんとなく、そんな感じ」という気持ちを「〜み」を使って表現している。「優しみがある」は「なんとなくこの人優しい」を表し、「優しみが深い」だと、「すごく優しい」、「優しみがすごい」だと、「優しすぎてびっくりした」というような気持を表している。