165)★ #日本語文法 ものがたり4★「は」と「が」④

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 今日はクイズ(小さなテスト)から始めます。次の対談の( )の中に「は」か「が」を入れてください。

【対談クイズ】

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 これは2017年2月13日、テレビ番組「徹子の部屋」の対談の一部です。司会は黒柳徹子さん、お客様は故岡江久美子さんです。

 岡江久美子さんはこの対談の3年後、皆さんに慕われながら、コロナでお亡くなりになりました。ここでは、インターネット掲載の「対談のセリフ書き起こし」の、最初の部分を使わせていただきました。

 多くの皆さんが、岡江さんのあの明るい笑顔に魅了されておられたと思います。彼女を偲びながらクイズをやってみてください。(合掌)

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【A】

(黒柳)(写真を見ながら)こちら(  )岡江久美子さんなんですが、(写真を見せながら)実はお孫さんとのお写真です。お嬢ちゃんの可愛いお孫さん。

(岡江)はい。

(黒柳)岡江久美子さん還暦を過ぎて、お孫さん(  )いらっしゃいます。16年ぶりのご出演でございますが、なんか去年還暦をお迎えになったって?

(岡江)はい。めでたく迎えること(  )できました。

(黒柳)お嬢さんの美帆さんに赤ちゃん(  )生まれて、お嬢さんだそうで…。かわいい…!

        無料イラスト赤ちゃん に対する画像結果

(岡江)よろしくお願いします。

(黒柳)岡江久美子さん今日のお客様です。

(岡江)どうも。

(黒柳)いやあ、でも、めでたくおばあ様におなりになって。

(岡江)なりましたね。

(黒柳)お若いですけど…おばあ様。嬉しいですかね? 嬉しいですね。

(岡江)嬉しいっていうか、娘(  )私と同じような気持ちになってくれるっていうの(  )嬉しいですね。

(黒柳)あなた自身として(  )かわいい?

(岡江)かわいいいです。かわいいですけど、来る時(  )かわいいんですけど、帰ってもかわいいっていう感じで。

(黒柳)ずっと見るのもね…。大変?

(岡江)なんか…ええ。

(黒柳)もうどのぐらいになります? 大きさ(  )。

(岡江)大きさ…。体重ちょっとまだ10キロいかないんですけども、年齢(  )1歳と4カ月ぐらいですか。

(黒柳)じゃあ、もう立ったりなんか。

(岡江)はい。しますします。

(黒柳)あなたの…話(  )違いますけど、お着物(  )ずいぶん凝ったお着物ですね。

(岡江)ありがとうございます。今日(  )『徹子の部屋』に出させていただくということで。更紗だとか絞りだとか色んなもの(  )挟み込みになっていて。

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(黒柳)帯も…帯の間にもその…何ですか? 凝ってますね。生地(  )入ってるんだから、ずいぶん凝ったお着物で。わざわざ恐れ入ります。

(岡江)いえいえ。嬉しいです。本当に…。

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皆さん、穴埋めができましたか?

では、( )の中に正解を入れます。自分の答えと照らし合わせてみてください。

【B】

(黒柳)(写真を見ながら)こちらa(岡江久美子さんなんですが、実はお孫さんとのお写真です。お嬢ちゃんの可愛いお孫さん。

(岡江)はい。

(黒柳)岡江久美子さん、還暦を過ぎて、お孫さんb()いらっしゃいます。16年ぶりのご出演でございますが、なんか去年還暦をお迎えになったって?

(岡江)はい。めでたく迎えることc()できました。

(黒柳)お嬢さんの美帆さんに赤ちゃんd()生まれて、お嬢さんだそうで…。 かわいい…!

(岡江)よろしくお願いします。

(黒柳)岡江久美子さん、今日のお客様です。

(岡江)どうも。

(黒柳)いやあ、でも、めでたくおばあ様におなりになって。

(岡江)なりましたね。

(黒柳)お若いですけど…おばあ様。嬉しいですかね? 嬉しいですね。

(岡江)嬉しいっていうか、娘e()私と同じような気持ちになってくれるっていうのf()嬉しいですね。

(黒柳)あなた自身としてg()かわいい?

(岡江)かわいいです。かわいいですけど、来る時h()かわいいんですけど、帰ってもかわいいっていう感じで。

(黒柳)ずっと見るのもね…。大変?

(岡江)なんか…ええ。

(黒柳)もうどのぐらいになります? 大きさi()?

(岡江)大きさ…。体重ちょっとまだ10キロいかないんですけども、年齢j()1歳と4カ月ぐらいですか。

(黒柳)じゃあ、もう立ったりなんか?

(岡江)はい。しますします。

(黒柳)あなたの…話k()違いますけど、お着物l()…ずいぶん凝ったお着物ですね。

(岡江)ありがとうございます。今日m()『徹子の部屋』に出させていただくということで。更紗だとか絞りだとか色んなものn()挟み込みになっていて。

(黒柳)帯も…帯の間にもその…何ですか? 凝ってますね。生地o()入ってるんだから、ずいぶん凝ったお着物で…。わざわざ恐れ入ります。

(岡江)いえいえ。嬉しいです。本当に…。  

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 皆さん、いかがでしたか?

 多くの方は日本人ネイティブなので、簡単にお分かりになったことと思います。

では、なぜそうなるか、今まで習った規則やご自分の考えも適用しながら、考えてみてください。今まで習ったのは、次のような規則です。

 

「が」①:目の前の事態や現象を表し、相手に伝える。

   ②:何か新しい人やものが登場するときに使う。

   ③:「~が」を使うと、複数の中から1つを取り出している感じがする。

 

「は」①:基本的には「対比」を表す。

     ②:状況や話題の中に出てきたものを、説明・解説するときに使う。

   ③:話し手の気持ちが入る場合が多い。

 

【B】で付けたa、b、c・・・oに当てはまる規則は次のようです。

a:「は」の②                b:「が」の①

c:「が」の①                   d:「が」の①

e:「が」の③(「が」の②もあり。)           f:「が」の①

g:「は」の①                   h:「は」の①

i:「は」の②(これは質問の形で説明・解説を求める時にも使う。)

j:「は」の②(これは質問の形で説明・解説を求める時にも使う。)

k:「が」の②                   l:「が」の①

m:「は」の①                n:「が」の①

o:「が」の①

 

 どうだったでしょうか?

 「は」の②は主題やトピックと言われるもので、「~について」の意味を持ちます。ですから、疑問文・質問文の中で、説明・解説を求めるためによく使われます。

 

 b、c、d、e、f、k、ln、oで、名詞句「~が」に対応する述語(動詞句)について見ていくと、次のようになり、述語(動詞句)が短いのが分かります。

 

b:お孫さんいらっしゃる

c:迎えることできた

d:赤ちゃん生まれた

e:娘(同じような気持ちに)なる

f:(同じような気持ちに)なるの嬉しい

k:話違う

l:着物凝っている

n:色んなもの(挟み込み)になる

o:生地入っている

 

 「~は」の後ろの述語(動詞句)では、色々な説明・解説ができるのに対し、「が」はそれはできなくて、通常、短い述語(動詞句)を取る傾向があります。この点でも、「は」と「が」は振る舞いが非常に違っている助詞であることが分かります。