今日はクイズ(小さなテスト)から始めます。次の対談の( )の中に「は」か「が」を入れてください。
【対談クイズ】
これは2017年2月13日、テレビ番組「徹子の部屋」の対談の一部です。司会は黒柳徹子さん、お客様は故岡江久美子さんです。
岡江久美子さんはこの対談の3年後、皆さんに慕われながら、コロナでお亡くなりになりました。ここでは、インターネット掲載の「対談のセリフ書き起こし」の、最初の部分を使わせていただきました。
多くの皆さんが、岡江さんのあの明るい笑顔に魅了されておられたと思います。彼女を偲びながらクイズをやってみてください。(合掌)
【A】
(黒柳)(写真を見ながら)こちら( )岡江久美子さんなんですが、(写真を見せながら)実はお孫さんとのお写真です。お嬢ちゃんの可愛いお孫さん。
(岡江)はい。
(黒柳)岡江久美子さん還暦を過ぎて、お孫さん( )いらっしゃいます。16年ぶりのご出演でございますが、なんか去年還暦をお迎えになったって?
(岡江)はい。めでたく迎えること( )できました。
(黒柳)お嬢さんの美帆さんに赤ちゃん( )生まれて、お嬢さんだそうで…。かわいい…!
(岡江)よろしくお願いします。
(黒柳)岡江久美子さん今日のお客様です。
(岡江)どうも。
(黒柳)いやあ、でも、めでたくおばあ様におなりになって。
(岡江)なりましたね。
(黒柳)お若いですけど…おばあ様。嬉しいですかね? 嬉しいですね。
(岡江)嬉しいっていうか、娘( )私と同じような気持ちになってくれるっていうの( )嬉しいですね。
(黒柳)あなた自身として( )かわいい?
(岡江)かわいいいです。かわいいですけど、来る時( )かわいいんですけど、帰ってもかわいいっていう感じで。
(黒柳)ずっと見るのもね…。大変?
(岡江)なんか…ええ。
(黒柳)もうどのぐらいになります? 大きさ( )。
(岡江)大きさ…。体重ちょっとまだ10キロいかないんですけども、年齢( )1歳と4カ月ぐらいですか。
(黒柳)じゃあ、もう立ったりなんか。
(岡江)はい。しますします。
(黒柳)あなたの…話( )違いますけど、お着物( )ずいぶん凝ったお着物ですね。
(岡江)ありがとうございます。今日( )『徹子の部屋』に出させていただくということで。更紗だとか絞りだとか色んなもの( )挟み込みになっていて。
(黒柳)帯も…帯の間にもその…何ですか? 凝ってますね。生地( )入ってるんだから、ずいぶん凝ったお着物で。わざわざ恐れ入ります。
(岡江)いえいえ。嬉しいです。本当に…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
皆さん、穴埋めができましたか?
では、( )の中に正解を入れます。自分の答えと照らし合わせてみてください。
【B】
(黒柳)(写真を見ながら)こちらa(は)岡江久美子さんなんですが、実はお孫さんとのお写真です。お嬢ちゃんの可愛いお孫さん。
(岡江)はい。
(黒柳)岡江久美子さん、還暦を過ぎて、お孫さんb(が)いらっしゃいます。16年ぶりのご出演でございますが、なんか去年還暦をお迎えになったって?
(岡江)はい。めでたく迎えることc(が)できました。
(黒柳)お嬢さんの美帆さんに赤ちゃんd(が)生まれて、お嬢さんだそうで…。 かわいい…!
(岡江)よろしくお願いします。
(黒柳)岡江久美子さん、今日のお客様です。
(岡江)どうも。
(黒柳)いやあ、でも、めでたくおばあ様におなりになって。
(岡江)なりましたね。
(黒柳)お若いですけど…おばあ様。嬉しいですかね? 嬉しいですね。
(岡江)嬉しいっていうか、娘e(が)私と同じような気持ちになってくれるっていうのf(が)嬉しいですね。
(黒柳)あなた自身としてg(は)かわいい?
(岡江)かわいいです。かわいいですけど、来る時h(は)かわいいんですけど、帰ってもかわいいっていう感じで。
(黒柳)ずっと見るのもね…。大変?
(岡江)なんか…ええ。
(黒柳)もうどのぐらいになります? 大きさi(は)?
(岡江)大きさ…。体重ちょっとまだ10キロいかないんですけども、年齢j(は)1歳と4カ月ぐらいですか。
(黒柳)じゃあ、もう立ったりなんか?
(岡江)はい。しますします。
(黒柳)あなたの…話k(が)違いますけど、お着物l(が)…ずいぶん凝ったお着物ですね。
(岡江)ありがとうございます。今日m(は)『徹子の部屋』に出させていただくということで。更紗だとか絞りだとか色んなものn(が)挟み込みになっていて。
(黒柳)帯も…帯の間にもその…何ですか? 凝ってますね。生地o(が)入ってるんだから、ずいぶん凝ったお着物で…。わざわざ恐れ入ります。
(岡江)いえいえ。嬉しいです。本当に…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
皆さん、いかがでしたか?
多くの方は日本人ネイティブなので、簡単にお分かりになったことと思います。
では、なぜそうなるか、今まで習った規則やご自分の考えも適用しながら、考えてみてください。今まで習ったのは、次のような規則です。
「が」①:目の前の事態や現象を表し、相手に伝える。
②:何か新しい人やものが登場するときに使う。
③:「~が」を使うと、複数の中から1つを取り出している感じがする。
「は」①:基本的には「対比」を表す。
②:状況や話題の中に出てきたものを、説明・解説するときに使う。
③:話し手の気持ちが入る場合が多い。
【B】で付けたa、b、c・・・oに当てはまる規則は次のようです。
a:「は」の② b:「が」の①
c:「が」の① d:「が」の①
e:「が」の③(「が」の②もあり。) f:「が」の①
g:「は」の① h:「は」の①
i:「は」の②(これは質問の形で説明・解説を求める時にも使う。)
j:「は」の②(これは質問の形で説明・解説を求める時にも使う。)
k:「が」の② l:「が」の①
m:「は」の① n:「が」の①
o:「が」の①
どうだったでしょうか?
「は」の②は主題やトピックと言われるもので、「~について」の意味を持ちます。ですから、疑問文・質問文の中で、説明・解説を求めるためによく使われます。
b、c、d、e、f、k、l、n、oで、名詞句「~が」に対応する述語(動詞句)について見ていくと、次のようになり、述語(動詞句)が短いのが分かります。
b:お孫さんがいらっしゃる
c:迎えることができた
d:赤ちゃんが生まれた
e:娘が(同じような気持ちに)なる
f:(同じような気持ちに)なるのが嬉しい
k:話が違う
l:着物が凝っている
n:色んなものが(挟み込み)になる
o:生地が入っている
「~は」の後ろの述語(動詞句)では、色々な説明・解説ができるのに対し、「が」はそれはできなくて、通常、短い述語(動詞句)を取る傾向があります。この点でも、「は」と「が」は振る舞いが非常に違っている助詞であることが分かります。