103)日本人と差別②

 

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 前回はアフリカルーツの黒人の人達が、日本に住んでいてどんな嫌なことを経験しているかについて、具体的に示した。その中には、完全に差別と呼べるものもあるが、日本人が気づかなかったり、また、良かれと思って行っていることもあった。どちらかというと、後者のほうが多いように思われた。

 NHKの番組でも、日本人も一昔前のようなあからさまな差別はかなり少なくなり、現在はマイクロアグレッションと言われる「悪意のない差別、気がつかない差別」で、黒人の人達を傷つけていることがあると言っていた。

 一方、差別をされたと感じた人々は、日本人に対して疎外感を持ち、それがあきらめの気持ちになり、自分は目立たないようにしようとする傾向が見られるという。

 では、これらのマイクロアグレッションと呼ばれる差別(悪意のない差別)について、日本人はどう考えていくべきであろうか。

 

アフリカにルーツを持つ黒人と呼ばれる人達は、次のような願望を持っている。

 

  • 日本人は、アフリカの人は貧しくて、ジャングルに住んで、動物と暮らしているというイメージを持っている。もっとありのままの自分達を知ってほしい。
  • 日本人はもっとアフリカを知ろうという気持ちが必要である。
  • 日本人は現代のアジア・アフリカ事情について勉強不足ではないか。
  • 日本の教科書には、黒人は黒人奴隷としてしか紹介されていない。
  • 日本人は、相手の気持ちを相手の立場になって考える「思いやり」の気持ちを、もっと持つべきである。
  • 日本人は、ほめているつもりで聞く質問が、時に相手を傷つけることがあることを、知るべきである。

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 日本人を弁護するのではないが、日本人は知らぬ誰かと話すとき、相手のおおよそのことが分からないと不安に思ってしまう。そのため、「おいくつ(何歳)ですか?」「お仕事は?」「ご出身は?」などの個人的なことや、「食べ物の中で何が好きですか?」「日本で何を食べたいですか?」など、子供に聞くような他愛のない質問をしてしまう。

 ③の勉強不足という点では、私も過去に中国の人に「国にはテレビがありますか?」と聞いて、笑われたし、呆れられたことがある。

 日本人は外国のことについて、特にアジアやアフリカなどについては勉強不足なのは認める。最近は変わってきているかもしれないが、私の高校の時の世界史の授業では、原始時代は非常に丁寧に時間をかけて教えるが、近代、現代となると、もう時間切れで端折ってしまうことが多かった。授業がそうであると、近代史・現代史を知らないというより、知らなくてもいいのだというような印象を与えてしまう。

 ⑤の相手に対する「思いやり」であるが、必要とされるのは通り一遍の「親切心」ではなく、もっと突っ込んで相手の立場に立てる気持ち、相手への配慮の心である。

 自分が勝手に想像するのではなく、客観的な目で相手を見つめ、相手の考えを知り、相手が何をしてほしいかを感じ取る力が、今求められる。

 それはありのままを見、ありのままをつかむ力である。

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