169)★ #日本語文法 ものがたり5★「助詞」①

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次のイラストを見てください。女性が何をしているか分かりますか?   

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 これは昔の女の人が、庭でお米を研いでいる姿です。「研(と)いでいる」というのは、「洗っている」という意味です。庭にはホタルが何匹かいます。

そこで一句。

 

「米洗う 前( )蛍が 二つ三つ」

 

 これは昔(年代不詳)読まれた作者不詳の俳句ですが、「前」の後ろ(( )の中)に「を・に・で」のどれかを入れて、俳句を仕上げてください。

 

 できましたか? そうですね、次のようになりますね。

 

「を」を入れる→ ①米洗う 前蛍が 二つ三つ

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「に」を入れる→ ②米洗う 前蛍が 二つ三つ

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「で」を入れる→ ③米洗う 前蛍が 二つ三つ

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 では、①~③の俳句を読んで、「蛍」がどんな動きをしているか想像してください。

次のabcの中から、ご自分の感じに近いものを選んでください。

 

a.「蛍」が素早く、さっと通り過ぎていく感じがする。

b.「蛍」に動きはなく、じっとしている感じがする。

c.「蛍」が上下に、また、左右に飛び回っている感じがする。

 

 いかがでしょうか? 答えは次のようです。

 ①-a  ②-b    ③-c

 

①~③の俳句は、「前」のうしろの「を・に・で」が違うだけです。でも、感じが違いますね。

 

 今まで見てきたように、いろいろな語などに付いて、文中でいろいろな役割や意味を果たすもの(要素)を「助詞」と呼びます。

助詞は働きに応じて、いくつかの種類に分けられます。

  • 格助詞:名詞の後ろに付いて、名詞と述語(主に動詞)との規則的な関係を示す。(が・を・に・へ・で・と・から・まで・より(・の))

   例:明日8時友達学校行く。

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  • 取り立て助詞:名詞だけでなく、文中のいろいろな語に付いて、話し手の気持ちを表す。(は・も・だけ・しか・さえ・こそ・ほど・くらい(ぐらい)・なんて・なんか等)例:私毎日1時間だけゲームをする。弟そうだ。
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  • 終助詞:文や句のうしろに付いて、話し手の疑問や喜怒哀楽の気持ちを表す。

  (ね・ねえ・よ・な・かな・さ・ぞ等)

   例:危ない。                

      f:id:hattoritamo:20220222112620p:plain   

    おもしろいね。

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  • 接続助詞:文と文、句と句などをつなぐ助詞。
  • 例:熱があるから、早く寝よう。
  •      イラスト熱がある に対する画像結果.サイズ: 98 x 102。ソース: www.irasutoya.com
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  • 良い天気だ、少し寒い。    

       

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 格助詞は「を、に、で」以外に「へ、から、まで、までに」などがあります。

格助詞は文の構造を作る助詞なので、日本人ネイティブは「名詞+格助詞」だけで、

後ろに来る動詞や述語を連想したり、想像したりできます。

最初に出てきた俳句は、次のような動詞(述語( )の中)が想像できました。

 

①米洗う 前蛍が 二つ三つ →(通り過ぎていく)

②米洗う 前蛍が 二つ三つ →(止まっている)

③米洗う 前蛍が 二つ三つ →(飛び回っている)

 

つまり日本人は文を最後まで聞かなくても、格助詞によって、相手が何かを言いたいか分かるし、相手もあなたの言いたいことが、もちろん100%ではありませんが、分かるということになります。

 

 「助詞」は働きが「複雑で難しい」ので、「助詞」は「女子」に似ているなどと言われることがあります。

 次回は格助詞について考えたいと思います。