湿疹が治らなくて、この1、2年皮膚科に通っている。
病院が駅前の便利なところにあるので、いつ行っても混んでいる。
きのうは、台風並みの雨と風であった。前日まではよい天気であったので、急激な気象の変化に戸惑ってしまう。
皮膚科に行くときは、たいてい朝10時過ぎである。早朝患者の波が引いた11時半ごろがすいているように思うし、以前一度そのころに行ったことがあるが、やはり結構待たされたので、今は10時過ぎを続けている。
リビングの窓から外を見ながら考えた。
今朝は朝からかなりの雨が横なぐりに降っている。こういう天気のときは誰も外へ出るのを嫌がるものだ。こういう天気のときは、病院もすいているはずだ。
よし、今日は病院へ行ってみよう。絶対待たずに診てもらえるはずだ。
夫に頼んで病院まで車で送ってもらった。それが9時15分。医者は9時20分ごろに現れるので、待っている患者は少ないはずだ。
そう思って待合室へ行くと、不吉な予感がした。いつもの混雑ぶりと変わらないではないか。
「え~っ、まさか!」
そして、受付でもらった診察待ち番号は16番であった。
いつもの10時過ぎに行ったときの、それも混んでいるときとあまり変わらない。前回は19番で、2時間近く待たされたのを覚えている。
「いやだなあ、また延々と待つのか・・・」
順番を待っている間に考えた。先に来ている患者は老人もいるが、若い人もいる。サラリーマン風の男性もいるし、奥さんふうの女性もいる。
この嵐の中を出かけてくるのはなぜだろう?
そして、答えに思い付いた。
彼らは天気に左右されない、病院へはいつも一番乗り、一番乗りとは言わなくても、きちんと早く着くという連中なのだ。
そういう真面目な、一団の人達がこの世にはいるのだ。
大嵐でも、病院には必ず開院と同時に行っている、という人達が15人もいるのだ。
中には私と同じで、大雨だからすいているにちがいないと思って、早く来た人たちもいるだろうが、こんなにたくさんの人が、集まるのだ・・・。
関係するかどうか分からないが、ときどきテレビで、何かの催しがあって、その催しがどんなに小さなものであっても、また、宣伝が行きわたっていなくても、何人かの人が開館前に並んでいるのを報道することがある。
誰に聞いたのか、どこで聞いたのか、必ず何人か人がいる。
怠け者の私は感心してしまうのだが、これも嵐を突いて通院する人たちと同じであろうか。
こういう人たちの心理は何なのだろうと考える。
真面目さか、腰が軽いのか。行動派なのか、ひま人なのか。
いずれにしろ、次回から何時にこの皮膚科に行けばいいか、考え込んでしまう大嵐の日であった。