132)浪人することの大変さ

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 会合があって、ちょうど私の隣になったのが、高校の国語科の先生であった。教師歴は20数年で、学年主任になったりする中堅の男先生である。

 昔からの知り合いであるので、話が弾んだ。話が高校の話になり、受験の話になり、そして、浪人生の話へと進んでいった。彼が熱を込めて言ったのは次のようなことである。

 「浪人をしても、そのうちの2割しか成績が上がらない」

 

 つまり、1年頑張っても、2割の人しか希望の大学には入れない。8割の人は、高校卒業時の成績を維持するのさえ難しいと言う。

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 さらに彼の言ったことは次のようであった。一般に浪人生は、

 

・2割が現役時よりも成績上昇

・6割が現役時の成績と変わらず

・2割が現役時よりも成績下降

 

 彼がベテランの高校教師であること、また、あまりにはっきり言い切ったので、私は、「ああ、そうなんだ」と納得してしまった。

「ああ、そうか、安易に浪人なんかできないね」という気持ちだったが、心のどこかに、「そうとばかりは言えないんじゃないの? 頑張ればできるんじゃないの?」という希望に似た気持ちもあった。

 

 しかし、それからしばらくして、浪人をしていた親友の息子が大学受験に失敗したと聞いて、私は考えの甘さを思い知らされたと言える。

 

 高校から現役で受験するのと、例えば1年間浪人するのとでは何が一番違うか。

やはりそれは、1年間という時間の猶予である。

 浪人生になったときは、ほとんどの人は、この1年は必死にがんばろうと思うにちがいない。そして、予備校にまじめに通ったり、家で缶詰になったりして勉強し始めたにちがいない。

 しかし、たぶん1か月も経たないうちに挫折してしまう。 なぜか?

予備校のウエブサイトには浪人受験のいくつかの失敗原因を挙げられている。

例えば次のようなものである。

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  • 現役時に、伸びしろを使い果たしていることが多いため。
  • 浪人生活は自由で、誘惑が多いため。
  • 気持ちがダレて、勉強しなくなるため。

 これらを克服できる人が成績が伸び、次の年に合格できるということになる。

ただ、克服できるのは普通の人ではだめで、よほど計画と目標を立てないと、同じことの繰り返しになりそうだ。

 これは私見だが、方法としては、

 

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  • 不合格が分かったときから受験勉強計画をすぐに立て、すぐ取りかかる。時間を置かない。
  • 自分の目指す大学、学部を明確に設定する。その情報を集める努力をする。センター試験の合格水準到達を目標にして、必死に取り組む覚悟を決める。
  • 自分は何が苦手だったかをじっくり考える。たとえば、英語の「読解」だとすると、まずはそれに他の教科より何倍もの時間をかける。
  • 自分の苦手科目がなんだったかを考え、逃げないで、その科目に手を付ける。
  • 自分の勉強方法は間違っていないかを考える。高1、高2の教科書に戻って、自信のないところからもう一度見直してみる。 

 浪人生活はこれからあと1年もの時間があると思ってしまうので、物事に対するスピードが落ちがちになるが、ともかくあまり間を置かないこと。自分に言い聞かせて、早め早めに態勢を整えたほうがいい。

 早めの時期に苦手な科目、苦手な分野や課題に集中して取り組む。

 苦手なものが少しでも克服されると、自信につながり、興味も深まる。勉強に変化をつけるためにも役立つにちがいない。

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