127)NHK「あさイチ」近江アナと鈴木アナ

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 毎日朝ドラの「おちょやん」に続いて、「あさイチ」を楽しませてもらっている。3月で前司会者の近江友里恵アナがやめ、産休明けの鈴木菜穂子アナがあとを引き継いだ。鈴木アナは朝7時のニュース、夜9時のニュース等を担当したNHKのトップアナである。

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 前任者の近江アナは非常に控え目な司会進行で、視聴者からのメールやファックス等を読み上げる以外は、ほとんどMC(司会者)らしきことはしない人だった。しかし、彼女の良いところは不自然に黙っているのではなく、放送の内容に深く関わっていながら(つまり、司会進行は的確にしながら)、ニコニコとして無駄な口はきかないという感じだった。自然体で自分自身もよく笑っていた。

 彼女がNHKを退社することが分かったとき、1000通を超える問い合わせや残念がる声が寄せられたという。番組が、彼女の大人しい司会進行が影響したのか、視聴率はやや落ち気味だったにも関わらずである。

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 次の司会者が鈴木アナになるということを聞いたとき、多くの人は「あさイチ」も雰囲気が変わるだろうと予測したはずだ。

 鈴木アナはベテランで、元気で明るく、積極的なタイプである。司会者はその番組のカラーを作る。鈴木アナはやはり鈴木カラーを出していくはずだ。

 近江アナの良さは、彼女が前に出ないからか、サブの大吉華丸さんの良さをも引き出していたことだ。2人のお笑いコンビはよくしゃべり、その当意即妙な受け答えがいい味を出していた。

 鈴木アナは違う。アナウンサーとしては当然の、積極的にしゃべりたいタイプだ。自分の意見や気持ちを出したいし、ゲストに対しても「〇〇さんはどう思われますか?」と積極的に意見を求めるタイプだ。

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 鈴木アナに変わってから、最初のころは大吉華丸さんが遠慮しているかのように静かになった。様子を見ているのかもしれないが、鈴木アナの声が多くなるほど、お笑いコンビの2人が大人しくなる。

「うーん、やっぱりね~」と私は思った。近江さん独特の司会方法が、世間一般の普通のやり方、つまり司会者がおしゃべりになって取り仕切っていく、に変わっていくような感じがした。

 「あさイチ」ファンとして、これからも楽しく番組を見続けたい私は、次のように考えた。「これが当たり前なのだ。司会者が変わるということは、番組のカラーが変わるということで、鈴木アナが自分のカラーを出していくのが当然だ。そうでないと、変わった意味がないのだ」と思うことにした。

 私は心のどこかで、鈴木アナに遠慮せずに、大吉華丸さんもどんどん言いたいことを言い続けてほしいと願いながら・・・。

 

 そして、4月も下旬になった。

 私の予測はちょっと外れていた。

 鈴木アナが近江アナとは全く違う積極的な対応をしながら、おしゃべり(過ぎ)にならず、分をわきまえていたのである。

 彼女はきっと頭の良い人なのであろう。

 楽しく自分の感想を言うことも多いが、必要以上のことはしゃべらないように努力している。自分を押し出すことは極力我慢して、控えめにしているように見える。

 

 これからどうなるかはちょっと分からないが、鈴木アナのこの「中庸さ」が続くことを願っている。そして、大吉華丸さんはじめ他の出演者が、遠慮なく自由闊達に、自分達自身をさらけ出してくれることを願っている。