今日お届けするのは、私の初めて書いた童話です。子供が小さいときに、勝手に作って、話してやっていたものですが、そのときは子供達がとても喜んで、特に「ビーム!」というところが気に入っていたようでした。何年かして、童話〇〇賞というのがあって、応募したのですが、見事落選してしまった作品です。
読んでみていただければ、幸いです。
<自然が つくった 青い ビーム>
じょうぼうじ村のたぬきや、きつねや、さる、そのほかのすべての動物と、人間の子どもたち、太郎や次郎、花子は大のなかよしでした。
いっしょに相撲をとったり、かけっこをしたり、鬼ごっこをしたり、楽しい毎日をすごしていました。
喧嘩をすることもありました。なぐったり、なぐられたりすることもありました。
春が来て、夏がすぎて、秋になって、そして、寒い冬がやってきました。
人間の子どもたちは寒い冬が少し苦手です。
でも、大丈夫!
「おおい、こっちに おいで。この穴で あそぼ。」
たぬきと、きつねと、さるが、力をあわせて、山のそばに穴をほってくれたのです。
穴の中には、あったかい葉っぱがたくさんしいてあります。葉っぱは、夏のお日さまがあたためてくれたおかげで、とってもあったかいのです。
人間の子どもたちは、暑い夏も少し苦手です。
でも、大丈夫!
暑い夏は、山の木が、木陰をつくってくれます。
大きな木でできた木陰の下は、とてもすずしいのです。
こうやって、春がすぎ、夏がすぎ、秋がすぎ、冬がすぎ・・・
そして、一年がたち、二年がたち・・・
あるとき、じょぼうじ村に、自動車道路がつくられることになりました。
広い道路です。まっすぐな道路です。
道路はアスファルトで ピカピカひかっています。
町まで車で、かんたんに行けるようになりました。
そして、ある日たいへんなことがおこりました。
たぬきのポンタくんが、車にはねられてしまったのです。ポンタくんは道路ができたことは知っていましたが、たぶん 大丈夫だと思って、道路をわたってしまったのです。
そして、その日の夜、きつねのコンちゃんが、車にぶつけられてしまいました。コンちゃんは、新しい自動車道路ができたことを すっかり忘れていたのです。すっかり忘れて、道路をわたろうと したのです。
そして、次の日、さるのキキさんが車にはねられたのです。車の運転手が、小さなキキさんを見落としてしまったのです。
道路の右側左側も、みんなが 遊んでいた同じ場所です。いつも平気で行き来していたところです。
道路の上に、ポンタと、コンちゃんと、キキさん、三つの死骸がころんでいます。
みんな悲しくなりました。最初はみんな、泣いてばかりいました。
ところが、ふしぎなことがおこったのです。
太郎が、たぬきのポンタくんをじっと見つめていたとき、太郎の目から、光がとびだしてきました。
ビーム!
ビームです。あの、青い、強い 光です。
次に、次郎がきつねのコンちゃんをじっと見つめました。
ビーム!
ビームです。あの、青い、強い 光です。
次に、くまのゴンくんが、さるのキキさんをじっと見つめました。
ビーム!
ビームです。あの、青い、強い 光です。
そのときです。
たぬきのポンタくんの頭が、ぷくっと うごきました。
きつねのコンちゃんの耳が、ひょこっとうごきはじめました。
さるのキキさんのしっぽが、ぴっくとうごきだしました。
そうです。みんなのビームで、たぬきも、きつねも、さるも 生きかえったのです。
わーい、わーい。
みんなは、どうして、ビームをだすことができたのでしょうか?
どうして、ビームが動物たちをすくうことができたのでしょうか?
あの、空のお日さまの力が、みんなに「キセキ」をおこさせたのです。
森の中の葉っぱや、木々の力が、みんなに、「きせき」をおこさせたのです。
みんなが自然の中で、いっぱい遊んだので、その自然のエネルギーが、青いビームになったのです。
自然には、人を生きかえらせる力があるんです。
自然ってすごいですね。
きょうも動物たちと、人間の子どもたちは、土にまみれたり、川で水遊びしたり、自然の中で遊んでいます