「留学生の会話」(9)で、テーマ「余暇」の②である。会話に参加している学生はかなり高度な日本語が話せる学習者が多い。しかし、長々と話したあと、何を言いたいのかがわかりにくい場合が多い。もう少し整理して、はっきりポイントを押さえて言ってほしいという感じがする。
わかりにくくしている原因の一つは、同じ語の言い直し、繰り返しが多いこと。自分の母国語でない言葉を使っているために自信がないのか、何度も言い返そうとする。極端な場合は、自分の知っている語や表現を全部並べようとする。
また、「~けれども」を使って文が延々と続く場合も何が言いたいかわかりにくい。
理由付けや付加説明をする「~けれども」を短い「~が」に変えたり、「けれども」を削除して、1文1文を終わらせていくと、かなりすっきりする。読みにくいが、発話は原文の載せてある。
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F:えーと、やっぱり、ストレス、ストレスの、ストレスの解消の仕方以前に、昔はストレス自体が少なかったんじゃないですか(→ないか)と思うんですけど。
昔は競争というよりは、みんないっしょに協力して、農業社会だったら、いっしょに農事の仕事やったり、みんないっしょにやることが多かったんで、競争によるストレスとか、ほかの人よりうまく生きなきゃいけないとか、そういう気持ちはないか、なかったと思うんで、そういうストレスを、ストレスを解消しなきゃという気持はあんまりなかったと思います。
逆に、現在においてストレスがたまっちゃったりとか、競争によるストレスですね、ほとんどが。
そういう点から見ると、昔は現在が(→昔と現在では)けっこう違いがあると思うんです。
B:Fさん、さっきおっしゃったことに対してちょっと質問がしたいこともある(→質問したい)と思いますけど、人がこういう競争に参加するというのは、個人の選択ではないでしょうか。つまり、こういうストレスをもたらす競争は人間自分(→人間自身)が作ったものではないか。
F:そうですね。人間が作ったんですけど、人間だったら逃げられない状態じゃないですか今は。
学校に入学して、生まれたときから今は競争社会に入るんですね。
逆に何か逃げる方法とか知ってますか。私は知らないから、今競争社会で(→に)住んでるんですけど。
B:Cさんこれを答えたいらしいんです(→Cさんがこの質問に答えてくださるそうです)ので、お願いします。
C:いや、あの、僕は(→が)思うには、そういう(→それは)人間が作ったんじゃなくて、世間がせまくなってきたっていうことですよ。
だから、もともとそういう村とか競争は必要ではなかったっていうか、ま、協力して、そんなに人もいなかったし、やっぱりみんなそういう専門とかあったんじゃないですか。
逆にそれが都市になって大都市になって人が増えてくるんじゃないですか。
最近は世界全体的に、やっぱりその競争はやんなきゃいけない、自分の生活(→生活も)ある。だから、もう別に選ぶとかじゃなくて、選ばなくてもいいんだけど、それはもちろんそういう豪華なライフスタイルを選ばないってことですから。
豪華っていうかすごい、選ばないと、その代わりそれなりに生活が低くなるていうか、それで満足したら、ま、幸せがないってことですね、逆に。
それで満足する人はあまりいないと思うし、だから上へ行きたい、だから競争するわけ。
そのストレスはしょうがないです(→しょうがない)と思うんですけど。ま、それは人が作ったわけではないし、だと思います。
G:個人的には、競争社会から逃げたいと思うときはあまりないんですけど、さっき、あの、質問があったんですけど、競争社会から逃げる方法は何ですか(→何か)という質問で、逃げる道はあると僕は思います。
最近、そういう逃げる人が、前に比べては少なくなったと思うんですけど、ま、歴史を見ると60年代などのときには、競争社会が著しく、あのー、大変な競争になったときには、多くの学生や普通のアルバイターが、逃げるためにコミューンというのを作って、中のほうへ移動して、共同生活を送ったりはしました。
もし本当(本当に)、逃げようと思ったら(→思うのなら)、そういう選択肢はあると僕は思います。ただ一般的には、ま、現在の、あの、何ていうんですか、都会での生活は、競争社会を避けることはない(→できない)という、ま、現実になっていると思います。
D:ちょっと、ちょっとだけなんですけど、えーと、Gさんにちょっとつく・・、add(*付け加える)したいってことなんですけど。
やっぱその競争から逃げたければ、アメリカでは、えーと、族っていうんですか、いっぱいいるんですけど、えーと、このコミュニティに入れば、やっぱそういう社会的な競争がなくなるんで、みんな共同生活ができると思いますので、ま、それは例の一つとして挙げたいと思ってます。
B:先ほどCさんが、非常に興味深い話題をお持ち出した(→持ち出された)けれども、それも一回ちょっと戻したい(→その話にもう一回戻したい)と思いますけど。
おっしゃった通り、皆が行きたい、上へ上に行きたいと思ってるんですけども、そういう上に行きたいという気持ちの基礎(→根っこ/基盤)にはどういう考え方がありますか。
C:上に行きたい基礎・・・あのー、ま、アメリカ人として、そういうアメリカの考えを考えると、やっぱりそういう、American dreamじゃないですか。
それはあります、そういう。
もう自分が、話がまとまらないんで、まとめられないんで・・・。
A:もしかして、えーと、アメリカに、人によって何世代前かは人によって違いますけれども、私達のアメリカ人の祖先がアメリカに移民、アメリカに移民して、それから、次の世代、次の世代、少しずつ少しずつ、飛躍してもいいですけれども、自分の両親よりもっといい生活できるっていうのはアメリカ、もっと言えば西洋文明においての前提みたいなものだと思います。
これは、いつも、えー、進歩っていうのが、ま、西洋文明の中の大前提だと思います。
えー、先ほど(→先ほどの話に)、ちょっとだけ戻りたいと思いますけど、この、競争社会から逃げるか逃げないか、白黒の問題ではないと思います。
例えば、このくらいの能力、あなた達ぐらいの能力があれば、もう社長になる(→なれる)にちがいない。
でも、そこまで、社長になるんだったら、いろんなことを犠牲しないといけない、じゃ、それだったら社長にならないで、もうちょっと平凡な会社生活を送ってもっと家族大事にするとか、出世に関するもの、ま、それぞれの人の価値観のことだと思うんです。
じゃ、よければ次の話題に移りましょうか。
じゃ、ここに、黒板に書いてある2番ですけれども、私達留学生がストレスの発散の仕方、日本での場合と自分の国での場合、で、ま、たぶんもともと、そもそもストレスの発生の仕方も違うと思いますけれども。
えー、例えば私の場合は、アメリカにいるときは、ま、テレビを見たり音楽を聞いたり、えー、何か、うちの近くに(→で)スポーツをやったり、いろいろただで来てできることが多いんですけれども、日本だとどこに行っても、何か、すぐ家の、自分は寮に住んでますけれども、そのすぐ近くに遊べるところはそんなになく、どっかに行くと(→行くのに)、もう1時間ぐらいかかっちゃうんです。
逆に言えば(→もちろん)、東京だからこそ(→には)、文化的な価値、例えば博物館とか美術館とかいっぱいありますけれども。
えー、ま、アメリカの自分、デトロイト出身ですけども、そんなに文化的な価値の遊び場所そんなにないんですけど、はい。
皆さんはどう思いますか。Bさんはどうですか。
B:これは非常に深い質問ですので、ちょっと考えたことあまりないですね。
C:韓国とか聞きたいですけど、やっぱりみんなでこう、そういうアメリカ人がいるんじゃないですか。
アメリカはやっぱりそういう、ま、Aさんがおっしゃったように、そういう遊べるところはいっぱいあるっていうか普通に歩ける、どっからでも、歩けるぐらい近いってことは、それは自分の育ち(→育ちに結びつくこと)じゃないですか。
だからそんな環境で育たない人はどんなふうにやったか、これは不思議で、不自然、アメリカ人にとって。
E:確かに日本と韓国は自然環境もけっこう似ているところが多くて特に都会などは、もう公園とかもあんまりないし。
えーそうですね、でー、私が向こうにいたときは、友達がたくさんいたし、みんな近くに住んでたんで、みんなやってることは全部違うんですけど、学生の人もいれば働いている人もいるし、で、ま、夕方に集まって、焼き肉食べに行って、で、お酒飲んで、ていうのが週3,4回ぐらいありましたね。
よく飲んでました。
で、向こうは焼き肉も安いので、そんなに、日本みたいに高くないので。
でも、こっち来てからはー、友達がいないわけではないんですけど、あんまりお酒好きな友達がいなくて、(Cさん、Dさん手を上げる(笑))
はい、で、ま、お金のこともあって、やっぱり高いんじゃないですか、ここは。
そういうのもあってあんまりそういう、こう~、何ていうか、やっぱり家でごろごろしながらストレスを、ストレスを解消することが多いんですが。
私の場合はラジオが大変好きなので、えーと、家にいるとラジオをつけっぱなしにしといて、すると、いろんな音楽も聞けるし、あと、おもしろくしゃべる人もたくさんいるので、そういうのがけっこう私はストレス解消としてはいいかなと思います。
私の、私、テレビはほとんど見てないんですけど、ラジオはかなり聞いてますので、それがストレスの解消になると思います。