今回は、「日本人は国際交流に消極的か」という問題がディスカッションの中心になる。資料は前回同様新聞のコラムによるものである。
彼らの多くは、日本人は欧米系の人とは積極的に英語で話そうとするが、アジアの人々に対してはそうではないという姿を見てきている。
彼ら印象は正しいのか、また、その原因・理由は何かについての議論は、日本人にとっても参考になる。
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司会Y:話題はだんだん重くなってきましたが、さっき皆さんは自分と日本人の交流の体験談について話してくれました。
皆さんは日本にいても、やはり外国人ですね。
では、とりあえずに日本人と人の関係の問題をおいといて、次に「日本人は国際交流に消極的か」という問題に入りたいと思います。
「日本人は外国人の友達がいるか」という質問に対して、日本人の答えは10%しかありません。
日本には外国人が多いのに、日本人には外国人の友達が少ない。皆さんはこれについてどう思いますか。
S:僕は10%もかなり高いと思います。10人の1人は(→に)外人の友達がいるということは。
日本は海に囲まれているんだから、10点(→%)取ればもう高いと思います。
司会Y:Sさんは10%は少ないとは言えないと主張してますか。Gさんはどう思いますか。
G:私は車さんの意見について部分的に賛成します。
日本はやぱり(→やっぱり)島国なので、つまり海に囲まれてるから、日本とつながりのある国はなくて(→ない。だから)、昔の日本人にとっては外国人の存在は、ちょっと考えられないものだと思います。
したがって、日本人は外国人に対して、やっぱり、抵抗的な傾向があると思います。
U:実は、私この調査の結果についてちょっと疑問がありますが、今は日本人が積極的に外国人とコミュニケーションしている姿がよく見られます。
電車の中で、歩いてるとき、ちょっとした何か英語の会話が耳に入ってる(→入ってくる)ことがけっこう多いです。
たぶんこの、外国人の友達がいるという質問は、人によって判断が違います。
たとえば仕事場にいる外国人は友達と認められない人は、「ない」と答えていると思います。
それに対して、どこかで、ちょっと話した外国人は(→を)友達だと判断する人もいるかもしれません。
だから、本当は、この調査の結果の数字はけっこう低いはずです。
司会Y:Uさんの意見では、比率が低い原因は、日本人は知り合いと友達をはっきり分けているからだということですけど、はい、Jさんどうぞ。
J:僕はこの調査による10%という数字を全く違う観点から分析してみました。
あのう、友達というものは2人が歩み寄って、はじめて友情関係が築けるというふうに僕はとらえています。
日本に来る外国人をよーく調べてみると、おそらく出稼ぎで来ている外国人がたくさんいると思います。
もちろんその中には皆さんのように、日本人との交流を大切にするために、留学しに来ている人達もいますが、大半は出稼ぎに来ている外国人です。
それで、この外国人は、どちらかというと、友達作りのためではなくお金もうけのために来ているので、その分もちろん交流も薄くなりますし、この数字も低くなっていくんではないかと思います。
司会Y:出稼ぎですね。Jさんの意見は、日本に来た外国人の多くは、実は日本人と付き合いたくない人ですね。(笑い)すみません。
J:そこまで極端に付き合いたくないということではなく、ただ違う目的があって日本へ来たということを言ってます。
Y:Jさんの意見はわかりやすいんですが、まとめると・・。
J:この統計が低いのは、日本人のせいだけではなく、外国人もお互いに刺激してるんじゃないかと思います、この統計に。
司会Y:この数字についてCさんは何かご意見がありますか。はい、どうぞ。
C:私は今日本に一体どれぐらい外国人がいるとか、そんな数字は知らないので、この10%が高いか低いかはちょっと判断できないんです。
でも出稼ぎが目的だといっても、友達がなければ、なかなか仕事ができないのは事実ですね。
特に、日本社会でも就職するときには、内縁関係がとても大切にされてますから、本当に出稼ぎを目的に来ていて、ちゃんと就職して稼ぎたいなら、日本人の友達を作る必要もある、じゃないですかね。
市:こちらの学生はどうですか。
S:日本語がしゃべれば希望が叶う、また、中国語を勉強したい、そして、勉強しようとする日本人もいますので、そういう日本の方々はもちろん優遇されますね。
だいたい、実用主義というかそういう交流は、・・はい・・。
司会Y:今この学校で日本の学生とconversationするという活動がありますが、私のconversationの相手は、conversationしているときは一応みんな熱中するんでが、それが終わったら全く連絡がないですね。
F:それは人それぞれだと思います。
私の経験では、前の学期のconversationパトナー(→パートナー)は確かにそういう傾向がありましたけど、でも今学期のconversationパートナーはすごく熱心でいい人だと思います。
U:これは人によって違います。今はまだ先学期のconversationと連絡があるんですが、日本人の中に積極的に外国人の友達作る人もいるし、ただ、サークルに入った以上はconversationしなければならないと思っている人もいるだろうと思います。
でも、確かに日本人の国際交流は対象によって態度がけっこう違います。
先進諸国、例えば、欧米の人に対しては、すごく積極的に親しくて、一所懸命英語を話すようにします。
それに対して、欧米以外の外国人に対しては礼儀正しいですが、けっこう距離感が強く現れていると私は感じています。
司会Y:そうですね。Fさんの経験みたいな経験も、僕も何度もありますけど、
例えば、電車の中で欧米人と、欧米人と大声で英語でしゃべっている日本人何人もいますが、もちろんその方の英語はぼろぼろですけど、でも、確かに欧米人といっしょに話すことを誇りに思っている様子が見えるんですけど。
J:僕も全く賛成です。
この問題については、内向きの日本人ではなく、差別する日本人の問題で扱うのもおかしくないくらいアジア人には消極的だと思います。
欧米への憧れのためなのか、僕のアメリカ人の友達は非常に日本人の友達を簡単に作れるというふうにみんなから聞きます。
それに比べて日本人に似ているアジア人に対しては自分達がエリート集団なのか、みたいなものを言いたいがために、何か区別したがる傾向があるように思います。
司会Y:はい、Fさん。
F:さっきYさんがおっしゃったことは、日本人が小さいときから受けてきた教育によっていると思います。
いろいろなブランド品やマスコミによって欧米こそ善、欧米諸国ならいいという考えが強く日本人の頭の中に刷り込まれていると思います。
G:さっきJさんの言ったことの原因について、ちょっと話したいと思います。
日本人はなぜ発展途上国の人々に対して、なぜそういう差別意識があるのか、それは多分1980年代に日本はそのバブル経済で驚くべき経済成果を成し遂げた。そのため日本人は次第に自分に対し自信が生まれるようになった。
で、そうした背景の中に自分に自信を持った日本人は、発展途上国の人々に対しても、ますます差別意識が生まれるようになると思います。
司会Y:Gさんは差別ということの存在を認めていますね。
G:一部の日本人だけですが。
司会Y:はい。これについてFさん、どうぞ。
F:私は差別まで行っていないと思います。なぜかというと、それは認識不足のようなもので。
日本人はアジア諸国の人に対して冷たいように見えますが、もしかしたら、実は日本人もそアジアの人達に対して、何を言うべきかわからないんじゃないかと思います。
司会Y:やっぱり交流努力の問題ですね。はい、Cさん。
C:私はこれは日本人、西洋諸国というか先進諸国への憧れは日本だけではないと思います。
たとえば中国でも、日本語より英語を学びたいと思っている人のほうが多いし、日本人の友達より欧米の人を友達にしたいと思っている人も多いと思います。
これが差別だといえば、日本人はむしろアジア諸国で差別されていると思います。
それはもちろん歴史的戦争の関係もありますし、日本は確かに80年代でもアメリカを超えて、一時的にはとても豊かな国でもありました。
日本に憧れて日本に来たいとか、日本とすごく親しくなりたいと思っている人は、いまだにそんなにいません。
今、日本に来て実際に聞いてみても、例えば、中国人の中でも、もともとはアメリカに行きたかったんですけれど、急に事件のあと厳しくなってしょうがなく、方向転換して日本に来た人もたくさんいました。
U:日本は中国をはじめとするアジア諸国と長い歴史の国際交流を持っていますが、だいたい日本人の考えではアジアの国は外国と言えないのかもしれません。
司会Y:はい、次、Gさん、お願いします。
G:しかし、否定できないのは、日本人のその、アジア人に対しての差別意識はだんだんなくなりつつあると思います。
その原因としては、日本人の自信の根拠であったバブルがすでに崩壊したからだと思います。
もう1つは、グロバリゼーションが盛んになりつつある今の現状の中で、日本人も次第に外国人への理解が深くなってきて、差別意識も徐々に薄くなってきたとも考えられます。
司会Y:Gさんの話を聞いて、それはほんとによかったと思います。