37)外国人留学生の会話(3)早期英語教育②

前回に続いて、語学の学習を開始するには何歳ぐらいが適切かがディスカッションの中心主題になっている。父親の都合で長期にアメリカに滞在している日本人(J)の学習過程が、話題になっている。早期外国語教育が子供に与える影響、教え方についてなどが議論された。中国の学生が多くを占めているが、発言自体が長くなっている。自分の考えをまとめて述べることができるレベルということが言える。

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C:ちょっと一つだけお聞きしたいんですけど、Jさんは3年生で英語の勉強が始まったとき、そこで日本語の勉強は止まったんですか。

J:日本語の勉強は。

C:3年生のときから、それは日本の学校で勉強したわけではなくて、向こうにいて、そのまま向こうの言語を勉強してたんですか。

J:はい、アメリカの現地校に通っていたので、日本語の勉強は学校に通うという意味ではそうなってしまいました。

C:あー、それはやはり日本の小学校で英語を勉強するのとは別の形になりますね。

J:全く別の形だと思います。うまく説明はできないんですが、やはり現地に行ってその英語の教育の参加に加わっていったほうが習得できるんじゃないかなとは思います。

C:日常生活も全部英語ですから、日本の小学校にいて、学校で英語を勉強するのとは違うと私は思いますが、Fさんはどう思いますか。

F:すみません、もう一度お願いします。

CJさんの場合、たしかに英語の勉強は日本語に大きな影響があったのですけれども、Jさんはちょっと特別な状況で、日本の学校で英語を勉強したわけではなくて、小学校のときアメリカに行ってそこで生活し始めて、逆に日本語は学校で勉強することとなったようなんですから、それは日本に住んで日本の学校で英語を勉強するのとは、日本語に及ぼす影響は違うと私は思いますが、Fさんどう思いますか。

F:私はやっぱり影響があると思います。まず断っておきたいんですけど、私は英語を勉強することを通して、逆に母国語の学習にも役に立つと思います。

実は私は中国語が話せるんですけど、中国語の文法はまったくわかりませんから。そういうところから見れば、他の言語を勉強したら、逆に自国の文化とか言語とかをさらに把握することができます。

C:英語の文法を学習して、自分の母国語を見直すのは、小学生にとってはどうでしょうね。

Gさんどうですか。今Fさんは外国語の学習は逆に日本語の勉強にいい影響があるとおっしゃったんですけど。

G:はい、私はやはり母国語と外国語をいっしょくたにして子供に教えるのは、やっぱりよくないなあと思います。

なぜかというと、自分の母国語、たとえば中国語か台湾語と外国語のシステムは完全に違うし、発音の構造とか習慣もかなり差が大きいですから、外国語と母国語をいっしょに子供に教えたら、逆に子供を混乱させる可能性があると思います。

だから、やっぱり子供のそういう児童期に、二つとか二つ以上の言葉を教えたら、押し付けるような形で教えたら、それは私はやっぱり賛成できないと思います。

C:同時に子供に2か国語勉強させるのは、子供を混乱させるというご意見ですが、Yさん。

Y:さっきのFさんの話を聞いて、一言言いたいと思いますが、2つの言語をいっしょに勉強することは、小学生にとって混乱を起こす可能性があるけど、でも、混乱は絶対に起こるとは限らないと思います。

早期英語教育のでは、子供のときが言語の形成の一番いいときだと思いますが、子供の教育を押し付けるのじゃなくて、本当の意味で身に付けることができると思います。

早期英語教育はいい面もあるし、おそらく悪い面もある、どう教育するかが大事なのだと思います。

C:方法が正しければ批判が出ることはないと思います。

Y:そうですね。

C:英語の勉強には最適期というのがあって、早いうちに勉強させるほうがいいというふうに理解してよろしいですか。

Y:はい。

F:私はYさんの意見に賛成です。

C:言語の勉強に最適期があるというご意見、皆さん賛成ですか。児童期はやはり覚えやすい。Jさんどうですか。

J:賛成ではありません。

UさんもCさんも、言語獲得の最適な時期は子供のときだというふうにおっしゃいましたが、脳科学的な証拠がないと、ある本には書いてありました。

なので、早期英語教育がいいというのはこれでは言えないんじゃないかなと僕は思います。

C:科学的な根拠がないと・・。

J:そうですね。科学的な根拠が見つかっていないのか、ないのかどちらかはわかりませんが、それがない限り、子供のときというのは別に特別なものではないと僕は思い続けます。

CFさん、どうぞ。

F:私は、これは、英語の早期教育の反対派の詭弁だと思います。

確かに脳生理学的な証拠がないというのは現実ですけど、普通の親は自分の子供に早いうちに英語を勉強させることで、実証的な事実があるかどうかわかると思います。

つまり、いろいろのこと言ってわかるのは、子供が早いうちに英語を勉強したら、正確に把握できるようにはならないということがわかると思います。

特に文法構造の部分はかなり影響があります。

また、付け加えておきたいのは、構文には役に立ちますけど、英語の発音にはもう間に合わないと思います。

というのは、この前私は言語学を勉強しましたが、言語学の理論によれば、人間は生まれて6か月から1年までに発音できる音が絞られるそうです。

C:それでは小学校3年生から始めるのも遅い・・

F:その面は遅いんですけど、でも文法的なものはかなり効果的です。

C:Fさんは何歳から英語を勉強しましたか。

F:そうですね、私は10歳からかな。だいたい小学校3年生。

CUさんはどうですか。

U:あの、さっきJさんおっしゃったのは、子供の時期は、脳の、外国語の勉強の最適期ということは科学的には根拠はない、ですね。でも私の考えでは、この、小さい子供は確か理解力が弱いですが、でも暗記力はけっこう強いと思います。何か教えた言葉とかすぐ覚えています。そして使えます。

外国語の勉強は暗記というのは絶対必要と思います。

中国の言葉、文法的な面は弱いけど、いろいろ言葉を暗記して、そして使えば、自然な外国語がしゃべれると思います。

なぜJさんは親が留学させる(→留学させた)んですか。

J:僕の場合、親の意図的な考えでアメリカに行ってはいないので、それは答えられません。

というのは父の仕事関係で、アメリカのボストンに住ませてもらっていたので、子供のころが英語を勉強するのに最適な時期というふうな考えは全く持ってなかったと思います。