177)植物の命に学ぶ①

 植物学者田中修氏の「植物の命に学ぶ」というインタビュー番組(NHK深夜便「明日への心」)は本当に面白かった。というより、植物について「へぇー」とか感心することが多かった。その面白さを今回と次回、2回続けてお送りする。田中氏の関西弁(京都弁?)を十分にお楽しみください。

        

まず、田中修氏の経歴をご紹介する。

昭和22年京都生まれ74歳。甲南大学特別客員教授

両親が草花が好きで、幼いころから草花を身近に感じていた。小学生のころ「なぜ植物は春になると芽を出すのか」を疑問に思った。

植物は不思議な仕組みを持っている。このことが田中さんを「植物生理学」の研究に進ませた。(「 」内は、放送の田中氏の話を筆者が文字起こしした。)

 

1)私達人間はコロナの中で一生懸命生きているが、植物も3密を心がけて頑張っている。

 

 「植物生理学っていうのは、植物の生き方なんですね。一般の方は、植物に生き方なんかあるのかと言われる。

 例えば、私達コロナの中で一生懸命、命守って生きてますよね。植物も3密を守って生きている。

 「外出自粛」って、うろうろするなってことですよね。植物はうろうろしません。

 マスクを着用するってことは、しゃべって飛沫を飛ばすなってことですよね、これ、植物はしゃべりません。

            イラストマスク に対する画像結果

 そして、植物は動けないって言いますけど、生涯で1回だけ動くチャンスあるんですね。移動するチャンス。それは種の時です。例えば、タンポポだったら綿毛が風に乗って飛んでいきますよね。

       

 ホウセンカだったら、触ったらパーンとはじけますよね。

            

それから、熟したらおいいしい実を付けて鳥なんかに食べてもらう。食べてもらう時には種が飛び散りますよね。もし、呑み込んでくれて、どこかに持って行ってくれたら、糞として出してくれるんだから、植物は動き回ることなく、新しい生育地を獲得するってことになるんですね。

           

 植物は生命を担ってますから、なるべくバラバラのところに飛ばして発芽する、山とか林とかに行ったら、樹木なんかはきれいに間隔空けて、ソーシャルディスタンス保ちながら、生きてますよね」

 

2.世界にはどのくらいの樹木があるんだろうか? どうやって数えるのだろうか?

 

 「樹木は、人間の胸の高さ、日本では120センチ、世界では130センチのとこなんですけど、そこの太さが10センチ越えたら、樹木として数えるというふうにやっているんです。けっこう精密にやったみたいですよ。空から航空写真 木がたくさん生えているところは緑濃くなりますよね。あまり生えていないところは緑薄いですよね。

        

 そして、次に数えるんです。このぐらいの緑が濃いところはどのくらい生えているんだろう? こんな色薄いところはどのくらい生えているんやろと数えて、そして、40万か所と言われてますけど、世界中の数10万か所のところで、実際こんな色やったら何本あるんやろと出してきて、そして、航空写真の色と合わせて、コンピューターで計算させるんです。

 

3.植物で一番大切なのは何か? それは「根」である。

   

 「根元、ルート、最も長いのは、なんと8万年です。実は、地上部の木は枯れるんです。でも、根は生きてる。で、その根が8万年というとね、なんでそんな長いのが分かるかと言われますけどね、それはどのくらい広がっているのかを見るんですね、その根が今、東京ドーム9個分って言われるんですけどね。

 

   

 

 ほんまに1本の木のね、端と端、東京ドーム9個分に広がった端と端の根を切るんですね。

 で、今遺伝子分析って分かられますか? 親子関係で遺伝子が全く一緒だというのを確認するんです。根がぎゅーっと伸びていって、端から端まで伸びていって、全く1本の同じ性質やから、それは1本の根だということになって、もちろんつながってますからね。

 そして次は8万年という数字はどうして出るかということですけど、その根が1年間にどんだけ伸びるかを見るんです。

例えば1センチ伸びるのだとか、2センチ伸びるのだとか。そしてそれが東京ドーム9個分に広がるとしたら、どのぐらいかかってるかって計算するんですよ。そしたら、約8万年かかって、こうして広がっていったんやということが分かるんです。

 

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 ここまで読んでくださった皆様、植物の話、いかがですか? 植物の「根」のすごいという話はまだまだ続きます。次回は、「根」が金鉱脈を見つけたという話をご紹介いたします‼